第22回日本再生医療学会総会

選考結果

中高のためのセッション 作文コース 全体講評

 毎年、この再生医療学会総会に合わせて作文コンクールを開催してきました。本年度も総会テーマである「みんなでつくる、未来」に合わせてテーマを設定したところ、たくさんの作文が寄せられました。一人ひとりの心の中に未来という時間を感じさせる作文であり、少しだけ先に行く者としてとても心強く感じました。しかし、いつも明るいことばかりではありません。悲しいことやつらいことは必ずあるものです。ところが、そのような経験をしてきたからこそ、顔を上げて進んでいこうという希望と決意には迫力が感じられました。
 特に、金賞を受賞された竹田 桜さんの作品は、身近な人の死、震災での多くの悲しみ、これらを目の当たりにしたときに、抗いがたい運命のようなもの、人間の力の小ささ、そのようなことを痛感し、「つくれない」未来に思いを馳せています。ところが、そこでとどまらず、「つくれない」未来があるからこそ「つくれる」未来は何としても作り上げる、「つくれない」未来以外のものは全力でつくる、という決意が感じられる文章です。私たちは自分の力ではどうしようもないことに直面した時、どうしても無力感に陥ってしまいます。この負の感情をはねのける力こそ、未来という時間を内包する若者の力なのかもしれません。
本学会は、医療の未来を切り開くフロンティアに立ち続けていますが、医療関係者だけの力で未来が明るくなるわけではありません。多くの人の思いこそが「つくれる」未来を実現するのでしょう。魯迅は『故郷』で将来を願うことをこのように表現しています。「思うに希望とは、もともとあるものとも言えぬし、ないものとも言えない。それは地上の道のようなものである。もともと地上には道はない。歩く人が多くなれば、それが道になるのだ。」(竹内好 訳)
最後になりましたが、様々な視点で「未来」に思いを巡らせてくれた皆さん、ありがとうございました。学校全体として本コンクールに取り組んでいただいているところもあり、この場を借りて感謝申し上げます。
多くの人があきらめずに進み続けることの大切さを教えてくれた作文の数々でした。 
 
選考の結果、各賞は以下の通り決定しました。

受賞者

学校名・学年・氏名 作文タイトル
金賞 慶應義塾女子高等学校 高校1年生
竹田 桜
個人で「つくれない」未来もみんなとなら
本文はこちらに掲載
銀賞 神戸女学院高等学部 高校2年生
伊藤 史織
弱者が笑顔でいられる未来へ
銅賞 山形県立山形東高等学校 高校2年生
長澤 パティ 瑛美
「One healthの実現」
銅賞 慶應義塾女子高等学校 高校1年生
福室 早織
未来はみんなの手の中に
銅賞 香蘭女学校中等科 中学2年生
多川 結莉
蚕と共につくる未来