会長挨拶

第30回日本心臓リハビリテーション学会学術集会会長
徳島大学医歯薬学研究部 循環器内科学分野 教授
佐田 政隆

この度、第30回日本心臓リハビリテーション学会学術集会の会長を仰せつかりました。徳島県内の会場事情と参加してくださる先生方の利便性を考慮して、神戸国際展示場ならびに神戸国際会議場で2024年7月13日(土)-14日(日)に開催させていただく予定です。伝統ある本学会の会長を務めることを身に余る光栄に存じると同時に、今までの大会に劣ることがなく充実したプログラムとなるように気を引き締めて準備を進めております。今回は、第30回という記念すべき大会でもあり、学会設立30周年記念事業ワーキンググループの先生方と相談しながら、各種の記念企画を盛り込んでいく所存です。

心臓リハビリテーションは、心臓病の患者さんが、体力を回復し自信を取り戻し、快適な家庭生活や社会生活に復帰するとともに、再発や再入院を防止することをめざしておこなう総合的活動プログラムであり、運動療法と学習活動・生活指導・カウンセリングなどを含みます。心臓リハビリテーションは、心臓病の患者さんにとってカテーテル治療、手術、デバイス治療、薬物療法と並んで、患者さんの予後を改善していくことが、数々の臨床研究で証明されており、循環器診療においてはなくてはならない存在となっています。また、心臓リハビリテーションがどのように有効性を示すのかその科学的根拠も数々報告されてきております。

2018年12月に「健康寿命の延伸等を図るための脳卒中、心臓病その他の循環器病に係る対策に関する基本法」が成立し、各都道府県で循環器病対策計画が進められていると思いますが、健康寿命の延伸と循環器病による年齢調整死亡率の低下のために、心臓リハビリテーションは、予防・啓発、急性期治療とならんで、なくてはならない存在となっています。今回のテーマは「サイエンスしていく心臓リハビリテーション」とさせていただきました。心臓リハビリテーションに関わる多職種の30名の先生方にプログラム委員会に入っていただき、心臓リハビリテーションの基本から最前線にいたるまで、多くの情報交換ができる魅力的なセッションが非常に盛沢山に企画されています。特別講演では、私の熊本高校同級生である大島一博厚生労働省事務次官に厚生労働省での取り組み、四国中央市のHITO病院の石川賀代理事長にはIoTを用いた働き方改革の取り組みにつて、名古屋大学の大内乗有教授にはマイオカインやアディポカインの運動との関係やイベント抑制の機序などについて、日本体育大学の岡田隆教授にはリハビリテーションにおけるレジスタンストレーニングの有用性について特別講演いただく予定です。また、海外招聘講演やAsia Prevent など海外からも多くの研究者に御参加いただき、海外色豊かな会にしたいと思います。心臓リハビリテーションに携わられている医師、理学療法士、看護師、薬剤師、臨床心理士、検査技師、作業療法士、健康運動指導士など様々な専門医療職から、スペシャリストから初心者まで楽しんでいただける、有意義な二日間にしたいと思います。最近、急速に普及し、需要も大きくなっている遠隔リハビリや維持期リハビリに関して、保険収載をはじめとする諸課題について議論していきたいと思います。また、心リハに関する分子生物学的アプローチやダイバーシティ、働き方改革、両立支援なども盛りこんでいきたいと思っています。

3年間以上我々を苦しめてきた新型コロナの流行もひと段落して、ようやく社会生活が正常化しつつあります。翌日7/15(月)は海の日で三連休であり、是非とも全国から神戸に集まっていただき、現地開催を基本としたいと思います。本学会は、どの会場も、通路まで立ち見が溢れる学会です。落ち着いて、もう一回視聴したい、同じ時間帯に別の会場で行われた発表を聞き逃したなどの声をよく聞きます。また、どうしても当日現地に参加できないけれども是非とも聴講したいという要望もありますので、オンデマンド配信も併用したいと思っています。また、全体懇親会を企画し、徳島に数ある有名連のなかでも最も大所帯である娯茶平の皆様にお越しいただき阿波踊り体験、ジャパンハートクラブによるハートフルウオーキングも企画しており、朝から夜まで、有意義かつ楽しい学会にしたいと思っています。ランチョンセミナーのお弁当は徳島大学病院栄養部に監修していただき、動脈硬化学会提唱のThe Japan Diet 食を徳島の食材を活かして準備中です。

徳島では、昔からお遍路さんを接待して歓迎する習慣があります。徳島大学ならびに四国の心臓リハビリテーションチームをあげて、最高の「お接待」ができるように準備を進めていきたいと思います。多くの医師、メディカルスタッフの方々と神戸でお会いできることを楽しみにしております。