第25回日本再生医療学会総会

選考結果

選考結果

中高のためのセッション 作文コース 全体講評
 毎年、この再生医療学会総会に合わせて作文コンクールを開催してきました。本年度も総会テーマである「希望の光を失わせない Hope, Brighter Than Ever」に合わせてテーマを設定したところ、たくさんの作文をお寄せいただきました。
今回、「医療の科学的進歩だけでなく、明日を信じられる世界を作ること」を主眼として掲げたところ、暗いトンネルに一条の光を見出すような作文が数多くありました。それは決して受け身の光ではなく、自らが見つけた光であり、自らがその光たろうとする決意の表れでもありました。あらためて医療が体だけでなく心を問題とすべきと感じました。
特に、金賞を受賞された山田香凜さんの作文は、二人の祖父との別れが深く関わっています。単に別れを経験したということよりも、その時までにいかに過ごすかという生への視点が読み取れます。二人の性格の違う祖父。しかしどちらも「自分らしく生きること」を望んだ二人。この最後の生きる意志に対して、山田さんの視線は温かく、そして悲しみが見えます。それはおそらく、元気だったころの祖父とは変わっていく姿を見て、まだ自分には実感がわかない「老い」というものを目の当たりにしたからでしょう。この未知なる暗闇に対して「誰かが抱える不安や戸惑いを見逃さず、言葉にならない思いに気づこうとする姿勢こそ、いまの私に灯せる小さな光なのだ」と自らの意思を述べています。そして、この二人の祖父が見せてくれた老いこそ「二人の祖父が最期に示してくれた光は、今の私の確かな道しるべだ。」と結んでいます。
自分の気持ちを言葉にすることは簡単ではありません。特にこのような強い悲しみや悼みを伴う思いは「言葉にならない」ものです。しかし、山田さんはその気持ちを明確な言葉にのせて私たちに伝えてくれています。このことによって、山田さんの中でも、漠然とした感覚が明確な形を伴ってきたことでしょう。言葉で内面の揺らぎに輪郭を与える素晴らしい作文でした。
他の賞を受賞された作文も私たちに新たな視点を気づかされるものがありました。応募された作文のどれもが、言葉の中から光を感じるものばかりでした。再生医療学会はみなさんの思いを受け止めつつ、よりよい医療を築くべく進んでいきます。みなさんには、これからも言葉にすることの大切さを忘れずに、どのような形であれ明日の世界を作ることに関わってほしいと願っています。ここに投稿してくれた皆さん全員にお礼申し上げます。

選考の結果、各賞は以下の通り決定しました。

受賞者

学校名・学年・氏名 作文タイトル
金賞 慶應義塾女子高等学校 高校2年生
山田 香凜
祖父たちが遺した光
銀賞 早稲田大学高等学院 高校2年生
本田 伊紗也
「あなたは誰かの希望」
銅賞 渋谷教育学園渋谷中学 中学2年生
林 夕莉葉
知は力、気づきは光
銅賞 福島県立郡山萌世高校 高校1年生
菅原 那音
闇深ければ暁近し