概要
日本小児感染症学会では2017年より小児感染症専門医制度、2019年より小児感染症認定医制度が始まった。認定医、専門医には専門性の高い知識が要求されるだけではなく、基礎疾患を抱える患者、免疫不全の患者や重症患者など、複雑な問題を抱える患者に対してのマネジメント能力も求められている。
今回のインタラクティブセッションでは、小児の不明熱について再考し、症例提示を通じて典型的病像やマネジメントについて学習する機会を提供する。
小児は発熱することが多い。その多くは自然軽快するウイルス性疾患であるが、一部の発熱患者は感染巣がはっきりとしないまま発熱が続き「不明熱」となる。不明熱のマネジメントは医療者にとって心理的負担が強く、医療者はしばしば診断をつけるのに困難さを感じる。感染症を専門にしていると不明熱を実際に診療する機会や相談される機会は多いが、不明熱患者のマネジメントには感染症の知識だけではなく非感染性疾患の知識も必要である。
総論では「発熱の原因がわからない」という意味で漠然と使用されることが多い「不明熱」という用語を掘り下げていく。そもそも小児の不明熱とはなにか?について立ち返り、成人の古典的不明熱との違いやfever without a sourceとの違いについて触れながら、小児の不明熱の定義について確認し、不明熱と考えた時の基本的なアプローチ方法などを共有する。
症例提示では、不明熱となりやすい疾患の代表的なプレゼンテーションを共有し、症例を通じて実際の診断、マネジメントやピットフォールついて学ぶ。
このセッションを通じて、小児の不明熱について理解し、以前よりも自信をもって不明熱診療に臨めるようになることを目標とする。