第25回日本臨床救急医学会総会・学術集会の会長を仰せつかりました大阪公立大学大学院医学研究科救急医学溝端康光です。今回の総会・学術集会は,副会長として大阪府医師会の茂松茂人会長および大阪市消防局小西一功局長にご就任いただき,令和4年5月25日(水)〜27日(金)の3日間の会期で,大阪国際会議場(大阪市北区中之島5丁目3-51)において開催します。大阪での開催は,私の恩師である横田順一朗元代表理事が第12回を同会場において開催されて以来,13年ぶり2回目となります。
会場となる大阪国際会議場は,土佐堀川と堂島川が南北を流れる中之島に位置します。水都大阪を代表するエリアとして,大阪市最古の公園である中之島公園や,大阪市中央公会堂,大阪府立中之島図書館といった歴史的建造物に加え,国立国際美術館やフェスティバルホールなどのモダンな建物が立ち並ぶ地区です。おしゃれなカフェやレストランも多く,近年整備された川沿いの遊歩道をのんびりと若葉の緑を楽しみながら散策していただくだけでも水都大阪の魅力をご堪能いただけると思います。
今回の学術集会のテーマは,大阪市立大学医学部建学の精神である「智・仁・勇」を取り入れ,「智・仁・勇を探求し,逆境を力に」としました。大阪市立大学は,令和4年4月に大阪府立大学と統合し大阪公立大学となりました。「智・仁・勇」は,大阪公立大学医学部においても,医師養成の精神として今後も引き継がれます。私は,救急医療に携わるものにとって,「智・仁・勇」の精神は特に重要であると考えています。会長講演ではその思いを紹介させていただきます。
2020年1月の初めての国内陽性患者,2月のダイヤモンド・プリンセス号の寄港以来,この2年間,我が国を襲ったコロナ禍は,医療体制を逼迫させ,なかでも救急医療体制を大きな逆境に陥れました。コロナ患者への対応のため,本来の救急医療を提供できず苦汁を嘗めた救急医療従事者も多いと思われます。一方,コロナ禍において最も活躍したのが救急医療従事者であることは誰もが認めるところです。多くの救急医療従事者にとって,コロナ禍という逆境において,「智・仁・勇」を探求し,初めて直面した様々な問題を解決することで新たな「力」をつけることができたものと考えています。本学術集会では,コロナ対応のみでなく,救急医療における「智・仁・勇」を探求した様々な取り組みを共有,議論し,将来への力としたいと考えています。
演題公募には735題の応募をいただき,指定演題と合わせて発表総数は850題を超えます。特別講演にはジェットコースターを後ろ向きに走らせ,ハリーポッターエリアをオープンさせて「ユニバ」をV字回復させた,株式会社刀代表取締役CEO森岡毅様,一昨年引退された野球評論家阪神タイガーススペシャルアシスタント藤川球児様にお願いしています。逆境を乗り越えるための,分析・アイデア力(智),チーム力(仁),実行力(勇)についての貴重なお話を伺えるものと期待しています。また,招請講演には,総務省より大阪府副知事に就任された海老原諭様をお招きしています。さらに,歴代日本臨床救急医学会代表理事の対談を企画し,本学会のこれまでの歩みと未来について貴重なご意見をいただきたいと思います。他にも17の教育講演,7つのシンポジウム,22のパネルディスカッション,8つのワークショップを中心にプログラムを作成しました。作成にあたってはプログラム委員会委員の皆様に大変ご尽力いただきました。この場を借りて御礼申し上げたいと思います。
本会の開催にあたっては,日常の診療業務の時間を割きながら当科の医局員が準備に奔走してくれました。不行き届きな点はすべて会長である私の責任であり,彼らの努力にはあらためて感謝したいと思います。最後になりましたが,本会が会員の皆様にとって実り多い会となりますことを心より祈念し,風薫る5月に大阪でお目にかかれることを楽しみにしています。