日程表・プログラム

日程表

日程表

プログラム

学術集会用演題検索システム(Kcon-navi―コンナビ)

本総会では「学術集会用演題検索システム(Kcon-navi―コンナビ)」をご利用いただけます。
*PC版・スマートフォン版ともに、ご利用にはID・パスワードの入力が必要です。

Kcon-naviはPCやスマートフォン、タブレットなどのwebブラウザーを利用する「演題検索システム」です。
演題やセッションの多角的な検索以外に、ご自身の参加プログラムをパーソナルスケジュールとして登録することができます。
登録されたプログラムは、自分だけの抄録をまとめた「オリジナル抄録集※1」としてPDF化※2でき、必要な分だけ印刷し持ち歩くことが可能です。

1「オリジナル抄録集」はPC版のみ対応

2「プログラムのみ/抄録のみ/プログラムと抄録」と選択可

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プログラム

理事長講演

司会 小池 和彦 関東中央病院病院長
演者 持田 智 埼玉医科大学消化器内科・肝臓内科

会長講演

司会 新津 洋司郎 湘南鎌倉総合病院湘南先端医学研究所湘南ヘルスイノベーションパークがん医療研究部
演者 高山 哲治 徳島大学大学院医歯薬学研究部消化器内科学分野教授

特別講演

特別講演1

司会 高山 哲治 徳島大学大学院医歯薬学研究部消化器内科学分野教授
演者 大津 敦 国立がん研究センター東病院病院長

特別講演2(招請講演)

司会 伊東 文生 聖マリアンナ医科大学医学部医学科
演者 荻野 周史 ハーバード大学医学部大学院・公衆衛生学大学院

特別講演3

司会 竹原 徹郎 大阪大学大学院医学系研究科消化器内科学
演者 原 英二 大阪大学微生物病研究所

特別企画

AIを用いた消化器診療はどこまで進んだのか?

司会 中本 安成 福井大学学術研究院医学系部門内科学(2)分野
春日井 邦夫 愛知医科大学消化管内科
演者 多田 智裕 株式会社AIメディカルサービス/医療法人ただともひろ胃腸科肛門科
建石 良介 東京大学附属病院消化器内科
伊藤 雅昭 国立がん研究センター東病院大腸外科・医療機器開発推進部門
芳賀 昭弘 徳島大学医歯薬学研究部医用画像物理学分野

メディカルスタッフ特別企画

働き方改革とメディカルスタッフの復職支援への取り組み

司会 田邉 稔 東京医科歯科大学大学院肝胆膵外科学分野
良沢 昭銘 埼玉医科大学国際医療センター消化器内科

1.厚生労働省から見えていた医師の働き方改革と全ての医療従事者の活躍のために

演者 藤川 葵 厚生労働省医政局医事課

2.働き方改革とメディカルスタッフの復職支援

演者 馬場 秀夫 熊本大学大学院生命科学研究部消化器外科学講座

3.看護職の働き方改革と復職支援

演者 別府 千恵 北里大学病院看護部

4.臨床検査技師の働き方改革と復職支援

演者 塚原 晃 戸田中央総合病院臨床検査科

5.看護師・保健師としての復職・転職経験とMBA視点から

演者 磯部 知愛 東京成徳短期大学幼児教育科

6.子育てと仕事の両立に必要な支援~当事者の立場から考える~

演者 近藤 めぐみ 埼玉医科大学国際医療センター看護部・外来化学療法室

キャリア支援委員会特別企画

多様性時代を生きる医師の働き方を考える〜働き方改革も踏まえて〜

司会 井戸 章雄 鹿児島大学大学院消化器疾患・生活習慣病学
岸 史子 徳島市民病院内科
草野 央 北里大学医学部消化器内科

シンポジウム

シンポジウム1
AIを用いた消化器疾患の診断・治療への応用

司会の言葉
消化器疾患における病変の検出や診断、また治療選択を効率的に実現するために、診療現場への人工知能(AI)の導入が急速に進んでいる。また、ビッグデータを背景とする医療DXを活用した創薬や治療法の開発が加速している。上下部消化管においては、AIを利用することで早期癌の内視鏡診断や形態分析、病理画像解析、進行度評価、治療効果の予測などが行われている。肝臓においては、肝癌の早期診断や病期の評価、脂肪肝の診断や予後予測をめざしている。胆道癌や膵癌に対しては、画像診断の支援や治療反応性の評価などが試みられている。さらに、難治性の消化器疾患に対するゲノム診療、薬剤開発、治療戦略の最適化にもAIは必須のものとなっている。本シンポジウムでは、さらに急速に注目されている生成系AIを含めた消化器疾患の診断・治療への応用について、開発段階の挑戦的な研究から臨床応用に至るまでの消化器病領域の未来像を議論したい。
司会 上野 義之 山形大学医学部内科学第二講座
中本 安成 福井大学学術研究院医学系部門内科学(2)分野

シンポジウム2
癌ゲノム医療の成果と課題

司会の言葉
わが国で、がんゲノムプロファイリング検査が保険適用になって約4年が経過するが(令和5年5月現在)、消化器がんの日常診療においても、コンパニオン診断または新規治療の選択情報として用いられている。このがんゲノム医療をより活用するには、本検査の回数やタイミングの制限、エキスパートパネルの効率良い実施方法、がんゲノム情報に基づく有効な治療へのアクセスの向上など、現在抱える様々な課題への更なる取り組みが必要である。本シンポジウムではがんゲノム医療の開始からこれまでの成果と課題解決に向けた最新の取り組みや研究について多面的に議論する
司会 馬場 英司 九州大学大学院医学研究院連携社会医学
武藤 学 京都大学大学院医学研究科腫瘍薬物治療学講座

シンポジウム3
消化器疾患における腸内細菌叢の解析;病態解明と診療展開

司会の言葉
近年の腸内細菌研究の飛躍的な進歩により腸内細菌叢の多様性や構成さらに機能の変化がさまざまな疾患の病態形成に関与していることが明らかになった。腸内細菌はエネルギー獲得にかかわる多彩な遺伝子を備えており、人は腸内細菌の力を借りながら食物からエネルギーを獲得している。一方、人は腸内細菌と共生するために複雑な免疫監視機構を発達させてきた。この免疫機構の破綻が、炎症性腸疾患などの免疫疾患の発症につながる。また、短鎖脂肪酸などの腸内細菌代謝産物と全身のエネルギー代謝、肥満と各種生活習慣病の関係や口腔内細菌と大腸発癌の関係など、新たな視点からの研究も展開されている。さらに、腸内細菌叢の成立の過程と加齢にともなう変化が明らかとなり、さまざまな疾患の発症予防への応用が期待されている。このシンポジウムでは、最近の腸内細菌研究の成果について発表いただき、腸内細菌叢を標的とした新たな治療法についても討論したい。
司会 安藤 朗 滋賀医科大学医学部消化器内科
中島 淳 横浜市立大学医学部肝胆膵消化器病学教室

シンポジウム4
進行胃癌に対する免疫療法と分子標的治療の新展開

司会の言葉
近年、進行胃癌に対する治療は免疫療法や分子標的薬により進歩が著しい。しかしながら、いまだにその治療成績は充分なものではなく、さらなる改善や新規治療が期待されている。例えば、新たな分子標的薬の開発、免疫療法の複数併用、免疫療法と化学療法あるいは分子標的薬の併用、薬物療法後のコンバージョン手術などの開発がすでに行われつつある。バイオマーカーとしてHER2増幅やPD-L1発現が用いられているが、その他の遺伝子異常や遺伝子発現変化を有する胃癌に対する個別化医療は確立されていない。また、胃癌の分化、未分化型などの組織型やピロリ菌やEBウイルスなどその病因による治療への応用も課題である。本シンポジウムでは進行胃癌に対する最新の治療とその応用、実臨床での成績、さらにはその有害事象対策など日常診療における問題点と今後の展開を示唆するような、新たなる戦略について、基礎的検討も含め将来性のある演題を広く募集する。
司会 掛地 吉弘 神戸大学食道胃腸外科
前田 愼 横浜市立大学消化器内科

シンポジウム5
H. pylori 陰性時代の上部消化管疾患

司会の言葉
本邦では高齢者はH. pylori現感染から既感染に推移し、若年者では未感染例が主体であり、現状では感染状況が混在している。今後は未感染例が増加するものの、この世代交代を見据えて、胃がんスクリーニング法の再構築とともに、H. pylori陰性時代がもたらす新たな疾患、すなわち、食道腺癌、胃底腺型胃癌、腺窩上皮型胃癌などの(相対的)増加、自己免疫性胃炎、好酸球性食道炎、特発性胃潰瘍など、診断治療に難渋する疾患へのマネージメントが必要である。さらに、食道運動機能異常、機能性ディスペプシアなどの機能性消化管疾患のみならず、しばしば上腹部症状を呈する、ポルフィリン症や遺伝性血管性浮腫など、希少疾患も念頭に置いて診療する姿勢が求められるようになった。本セッションでは、これまでの研究成果のreviewとともに、新たな研究成果を募集し、本邦においてこれから注意すべき上部消化管疾患に関して広く議論する場としたい。
司会 村上 和成 大分大学医学部消化器内科
永原 章仁 順天堂大学医学部消化器内科

シンポジウム6
消化管腫瘍に対する新しい内視鏡診断技術の発展

司会の言葉
消化管腫瘍に対する内視鏡診断には、存在診断、質的診断、側方進展・深達度診断などが存在し、それぞれにおいて診断精度向上のための取り組みがなされてきた。2009年、田尻、丹羽により、内視鏡観察法は通常観察、画像強調観察(IEE)、拡大内視鏡観察、顕微内視鏡観察、断層イメージングに分類されたことで、混とんとしていた内視鏡観察法の用語が整理された。近年、IEEにおいては、従来のNBI、BLI、i-scan OEに加え、LCI、RDI、TXIなどの観察法が開発され、新知見が集積しつつある。また、人工知能の活用により各種観察法の診断精度向上も図られている。本シンポジウムでは最新の内視鏡技術を用いた検証的臨床研究報告を期待するが、分子イメージングなど、将来バラダイムシフトを起こす可能性を秘めた探索的臨床研究や前臨床研究の報告も積極的に採用する予定である。多数の演題応募をお願いしたい。
司会 田中 信治 JA 尾道総合病院/広島大学名誉教授
藤城 光弘 東京大学医学部消化器内科

シンポジウム7
潰瘍性大腸炎の個別化治療 〜基礎から臨床まで〜

司会の言葉
潰瘍性大腸炎は基準薬やコルチコステロイドに反応しない難治症例が一定の率で含まれる。これらに対する治療としてこの数年で抗体製剤、JAK阻害剤、接着分子阻害剤など新規治療薬が次々と上市され治療の選択肢が増え、今後も新しい機序の薬剤が開発されると予想されている。新規治療薬は、特定の分子をターゲットとして開発された特徴がある。しかし治療反応性はどの薬剤も十分とは言えず、これは潰瘍性大腸炎の病態が個人個人で多様性があることに起因すると想定されている。このような背景で、効果を予測するバイオマーカーの実用化が期待されている。治療反応性以外にも、罹患範囲の違い、臨床経過の違いなどがなぜ生じるのか、不明な点が多い。本シンポジウムでは、将来期待される潰瘍性大腸炎の個別化・最適化治療に向けて、臨床的・基礎的に取り組んでいただいている研究成果をご報告いただき、幅広く討論する場としたい。
司会 金井 隆典 慶應義塾大学医学部消化器内科
穂苅 量太 防衛医科大学校消化器内科

シンポジウム8
切除不能進行再発大腸癌の治療戦略

司会の言葉
進行大腸癌の治療成績はここ20年で飛躍的に向上し、tumor biologyに基づく個別化医療に向けた基礎・応用・臨床研究が加速している。切除不能進行大腸癌では、RAS、BRAF、MMR/MSI、HER-2等のバイオマーカーがすでに臨床導入されており、BRAF阻害剤、HER-2阻害剤、免疫チェックポイント阻害剤の投与がすでに開始されている。さらに臓器横断的ゲノム医療としてNTRK融合遺伝子陽性癌に対するNTRK阻害剤、TMB-Hを示す大腸癌に対する免疫チェックポイント阻害剤の臨床導入もなされた。今後もKRASをターゲットとする薬剤等の臨床導入が期待される。本ワークショップでは、precision oncologyの実現につながる基礎・応用研究から臨床研究まで幅広い内容を議論したい。活発な演題応募を期待する。
司会 馬場 秀夫 熊本大学大学院消化器外科学
吉野 孝之 国立がん研究センター東病院消化管内科

シンポジウム9
小腸腫瘍の内視鏡診断・治療の最前線

司会の言葉
実用的小腸内視鏡の普及に伴い、深部小腸の腫瘍性病変も内視鏡診療の対象となってきた。しかし小腸はほかの消化管と異なり原発性上皮性腫瘍が少なく、悪性リンパ腫やGastrointestinal Stromal Tumor(GIST)といった非上皮性腫瘍の比重が高い。また管腔内のポリープは腸重積の原因となるため悪性度にかかわらず問題となりうる。転移性腫瘍はどうであろうか。小腸癌取扱い規約の策定が進められており、小腸の腫瘍性病変に関する諸問題について俯瞰する必要がある。そこで、家族性大腸腺腫症やPeutz-Jeghers症候群などのポリポーシス症候群に伴う小腸ポリープのマネージメントも含め、十二指腸を除いた空腸と回腸の小腸腫瘍やポリープを対象とした早期発見や診断方法、マネージメントや内視鏡治療などについて幅広い発表を募集する。
司会 山本 博徳 自治医科大学内科学講座消化器内科学部門
大塚 和朗 東京医科歯科大学病院光学医療診療部

シンポジウム10
自己免疫性膵炎・IgG4関連硬化性胆管炎の病態解明と診療戦略

司会の言葉
IgG4関連疾患の膵胆道病変である自己免疫性膵炎・IgG4関連硬化性胆管炎は、我が国における疾患概念の確立、および診断基準の策定により、その患者数は増加の一途を辿っている。これらの疾患の病因として、これまでに免疫学的な異常や疾患感受性遺伝子などが報告されているが、その根本的な病態解明には至っていない。また診療ガイドラインの普及により比較的均一な診療が行われるようになってきたが、未だ鑑別診断や治療適応の判断に苦慮する症例を経験する。さらに、ステロイド投与後の高い再燃率や、各臓器の機能予後・悪性腫瘍合併を含む長期予後が不明な点など、治療選択における多くの課題が残されている。本シンポジウムでは、各施設の病態解明、診断、および治療に関する最新の研究成果、そしてこれらに基づいた新しい診療戦略についてご報告いただき、現時点における問題点と進むべき方向性について共有したい。多くの意欲的な演題応募を期待する。
司会 内田 一茂 高知大学医学部消化器内科
児玉 裕三 神戸大学大学院医学研究科内科学講座消化器内科学分野

シンポジウム11
膵癌の分子異常と個別化治療

司会の言葉
膵癌患者においてもgBRCA、高頻度マイクロサテライト不安定性、腫瘍遺伝子変異量高スコア、NTRL融合遺伝子などの異常が認められればそれに対応した免疫療法や分子標的治療などの治療が可能ではあるが、その頻度も種類も少なく本疾患における個別化治療は極めて限定的である。一方、膵癌の発生や進展にかかわる遺伝子や蛋白のさらなる解明は精力的に続けられており、新たな診断や治療への応用、治療法選択や再発予測のバイオマーカーとしての活用への期待が高まっている。現在進められている基礎的研究や臨床導入の試みと成果をご紹介いただき、今後の治療戦略について展望していただきたい。
司会 海野 倫明 東北大学消化器外科学
奥坂 拓志 国立がん研究センター中央病院肝胆膵内科

シンポジウム12
NASHの病態解明に基づく診療戦略

司会の言葉
非アルコール性脂肪肝炎(NASH)は進行性の経過をたどる慢性肝疾患である。肥満人口の増大や生活習慣の変化に伴い近年罹患者数が増加し、肝硬変、肝癌に占めるNASHの頻度が増加している。NASHは肝臓内の脂肪蓄積になんらかの炎症機転が加わり発症すると考えられているが、その機序は複合的であり多様である。NASHの病態のnatural courseも明らかではなく、NASHGまた、代謝異常を背景にした慢性炎症からの線維化・発がん機構についても必ずしも十分に解明されていない。本シンポジウムでは、NASHの病態に関して、基礎的・臨床的な演題を発表いただき、その知見に基づき今後どのような診療戦略が構築できるのか議論していきたい。基礎、臨床、最先端の研究内容を広く公募しますので、多くの演題の応募を期待します。
司会 竹原 徹郎 大阪大学大学院医学系研究科消化器内科学
正木 勉 香川大学医学部消化器・神経内科

シンポジウム13
進行肝癌の個別化治療戦略

司会の言葉
アテゾリズマブ+ベバシズマブ併用療法に続き、デュルバルマブ+トレメリムマブ併用療法の登場により、進行肝癌の治療は免疫チェックポイント阻害剤(ICI)時代を迎えている。ICIによる抗腫瘍効果は、ゲノム異常を反映した肝癌細胞の生物学的特性、並びに肝癌を取り巻く微小免疫環境の影響を受け、免疫関連有害事象(irAE)は宿主の免疫的背景との関係が深い。よって、ICIによる進行肝癌治療に於いては、肝癌の生物学的特性、微小免疫環境、宿主の免疫的背景に基づく個別化治療戦略を立てることが理想的であり、ICI治療反応性や予後と関連性のある、がんゲノム異常、免疫学的背景、バイオマーカー、MRI等の画像所見の解析、研究が進められている。本ワークショップではその最新知見を発表いただきたい。加えて進行肝癌に対するICI治療を含めた集学的治療戦略、並びにICI治療奏効例に対するコンバージョン治療戦略等についても議論できればと考えている。
司会 中尾 一彦 長崎大学医学部消化器内科
榎本 信幸 山梨大学医学部消化器内科

シンポジウム14
急性肝不全およびその類縁疾患の病態と治療戦略

司会の言葉
わが国の急性肝不全とLOHFは、ウイルス性症例は減少しているが、薬物性、自己免疫性症例が増加し、その病態は変化している。また、飲酒動向の変化によって、類縁疾患である重症型アルコール性肝炎が重要となり、ACLFとその類縁病態にも注目が集まっている。これら重症肝不全症例に実態は全国調査によって明らかになってきた。しかし、その予後は向上する兆しが見られず、治療体系を再構築する必要がある。副腎皮質ステロイドの投与法、人工肝補助療法、感染症など合併症対策を標準化し、地域ごとに病診連携を構築することは急務である。また、肝移植適応に関しても、最近の症例に即して見直さなければならない。さらに、病態に応じた新規治療法、再生医療の導入も待たれる。本シンポジウムでは、これら急性肝不全を巡る課題を議論し、診療の在り方を展望したい。臨床研究から基礎研究、トランスレーショナル・リサーチまで幅広い演題の応募を期待する。
司会 持田 智 埼玉医科大学消化器内科・肝臓内科
日浅 陽一 愛媛大学大学院医学研究科消化器・内分泌・代謝内科学

パネルディスカッション

パネルディスカッション1
神経内分泌腫瘍の新しい治療戦略

司会の言葉
日本では膵・消化管神経内分泌腫瘍に対する治療戦略は過去約10年で飛躍的に進歩している。ソマトスタチンアナログ、分子標的薬及び抗がん剤の使用が可能となり薬物療法の選択肢も増えた。また、放射性核種標識ペプチド治療(peptide receptor radionuclide therapy: PRRT)という新たな画期的な治療が加わり、日本人におけるPRRTの有効性および適応、さらには様々な問題点についても徐々に判明して来た。さらに、外科治療においては技術の向上はもとより、前記した薬物治療の登場によりconversion therapyを始め外科治療を含めた集学的治療も変化しつつある。本パネルディスカッションでは膵・消化管神経内分泌腫瘍の新しい治療戦略として、外科治療および薬物治療の工夫、さらに最新のPRRTに関してのコンセンサスを得たいと考えている。多数の演題の応募を期待している。
司会 伊藤 鉄英 福岡山王病院・国際医療福祉大学膵臓内科・神経内分泌腫瘍センター
調 憲 群馬大学総合外科学講座肝胆膵外科分野

パネルディスカッション2
ロボット手術の現状、課題と今後の展開

司会の言葉
消化器疾患に対するロボット手術は、本邦において2010年代から行われ始め、2018年以降保険適応も拡大されつつある。手術に用いられるロボットの種類も増えてきており、今後はますますこの領域の発展が予想されている。
ロボット装置の技術的な優越性から、消化器疾患に対するロボット手術にはさまざまなメリットがあると考えられているが、その一方で手術成績などに関する確固たるエビデンスが十分でない点、触覚の欠如やアームの干渉に代表される技術的な欠点、手術教育における位置づけ、コストの問題など、解決すべき課題は多い。
一方で、遠隔手術への応用や、人工知能などのIT技術との融合による新たな手術技術の開発など、ロボット手術には将来に向けた大きな可能性があると考えられている。
本セッションでは、消化器疾患に対するロボット手術の成績や課題、将来に向けた展望と取り組みについてディスカッションを行いたい。
司会 吉田 寛 日本医科大学消化器外科
石原 聡一郎 東京大学腫瘍外科

パネルディスカッション3
自己免疫性胃炎の病態解明と診療展開

司会の言葉
自己免疫性胃炎 (以下AIG)の診断基準が附置研究会「A型胃炎の診断基準確立に関する研究会」にて提示された。また、その診断補助として有用である血清ガストリン測定 (保険適用)も再開された現在、今後はAIGの病態解明や臨床病理学的病期の特徴、胃腫瘍高危険群の設定とサーベイランス、さらにビタミンB12欠乏や他の自己免疫疾患の合併等を含む全身的な問題も含めた診療体系の確立が急務と考えられる。
病理組織学的病期に準じた内視鏡所見や臨床像の特徴とは何か(乖離はないのか)、初期・早期病変から晩期に至るまでの自然史・進展様式 (長期経過例の提示)、H. pylori 感染との関連 (除菌前後の推移など)、胃腫瘍高危険群をどのように設定し、どうサーベイランスしていくのか、治療方法が解明されていないなか、患者へどのようにインフォームドコンセントしどのように管理していくのかなど、様々な視点からAIGの病態解明と今後の診療体系などを討論したい。
本パネルディスカッションでは、新時代に突入したAIG診療・研究に一石を投じる興味深い多くの演題応募を期待いたします。
司会 古田 隆久 ふるた内科クリニック内科消化器内科
鎌田 智有 川崎医科大学健康管理学

パネルディスカッション4
アレルギー性および薬剤性消化管疾患の病態と診療の展開

司会の言葉
近年、食物アレルギーが誘因の一つとなる好酸球性消化管疾患(EGID)は増加傾向にあり、本邦における好酸球性食道炎や胃腸炎の実態が明らかになりつつある。一方、薬剤性消化管障害はアレルギー機序のみならず、薬剤そのものによる粘膜傷害、腸内細菌叢の変化、免疫機序など様々なメカニズムに依存して発症する。その原因薬剤は、非ステロイド性抗炎症薬、プロトンポンプ阻害剤、抗菌薬、免疫抑制薬、免疫チェックポイント阻害剤など多岐にわたり、各薬剤による消化管障害の実態と病態の把握は重要な研究課題となっている。本セッションでは、アレルギー性および薬剤性消化管疾患について、上部・下部消化管、臨床的・基礎的な内容を問わず、広い範囲から演題を募集し、本邦におけるこれらの疾患の現状を明らかにし、今後の課題を含めて活発にディスカッションする機会としたい。
司会 石原 俊治 島根大学医学部内科学講座第二
飯島 克則 秋田大学消化器内科

パネルディスカッション5
消化管癌に対する新しい内視鏡治療戦略

司会の言葉
近年、内視鏡治療の発展は目覚ましく、様々な機器開発やアイデアが生まれている。Pocket creation methodやwater pressure methodなどのストラテジーの工夫、新たなトラクションデバイスや縫縮法の開発で消化管ESDは専門施設においてはもはや標準治療となったが、切除困難例の存在や若手への教育など課題も多い。CSPやunderwater EMRが加わり各施設で様々な取り組みがなされている。出血に対してはGel immersion法やRDIを用いた出血点の同定、吸収性局所止血材による止血など開発が進んでいる。縫縮法についても通常のクリップ縫縮に加え、ナイロン糸を利用した縫縮法や新規縫合デバイスが開発・市販され、GISTやESD困難例に対する全層切除が今後普及してくる可能性もある。
本セッションでは消化管内視鏡治療法の工夫、偶発症予防、外科との合同手術、LECS関連手技、トラブルシューティングなど全消化管を対象に幅広く演題を募集し、今後の診療に有益な議論を深めたい。
司会 後藤田 卓志 日本大学医学部消化器肝臓内科学分野
斎藤 豊 国立がん研究センター中央病院内視鏡科

パネルディスカッション6
機能性消化器疾患の病態解明と臨床展開

司会の言葉
機能性ディスペプシア(FD)や過敏性腸症候群(IBS)などの機能性消化管疾患は慢性的な消化器症状を有し、日常臨床でも遭遇する機会は多い。RomeⅣ基準では消化管と脳が綿密に連携する脳腸相関がその病態生理の基本であるとされている。すなわち、遺伝的素因や生育環境、生活習慣などを背景にストレスによる心理的要因、感染とそれに伴う微小炎症や粘膜透過性の亢進、腸内細菌叢の変化、免疫異常などが脳腸軸のバランスを撹乱することで、消化管運動や内臓知覚の異常をきたし、その結果として様々な症状が発現していると考えられている。特にFDやIBSは診療ガイドラインが示され、実臨床に大きく貢献している。本パネルディスカッションでは機能性消化管疾患の病態に関する基礎及び臨床研究の成果、そして病態に基づく診断から治療までの研究成果を広く議論することで、機能性消化管疾患に対する理解を深め、今後の課題を明らかにしていきたい。
司会 春日井 邦夫 愛知医科大学消化管内科
藤原 靖弘 大阪公立大学医学部消化器内科学

パネルディスカッション7
抗血栓薬内服者に対する消化管内視鏡治療のマネージメント

司会の言葉
人口の高齢化とともに併存疾患を有した抗血栓薬内服者が増加している。一方で消化器内視鏡治療の進歩により、領域や適応病変が拡大している。本邦では2012年に抗血栓薬を持続することによる消化管出血だけでなく、抗血栓薬の休薬による血栓塞栓症の誘発にも配慮した消化器内視鏡診療ガイドラインが発刊され、2017年には直接経口抗凝固薬(DOAC)を含めた抗凝固薬に関する追補2017が発刊された。しかし、問題点として各ステートメントに関してエビデンスレベルは不十分なものが多く、またDOACによる出血リスクについてのデータが少ないことがあげられている。また新規治療薬も上市され、現状のガイドラインではカバーできていない部分が多くなっている。本パネルディスカッションでは抗血栓薬内服者における消化管内視鏡治療(胆膵内視鏡処置は除く)のマネージメントを対象とし、エビデンスの構築に向けた意欲的な多くの演題を期待する。
司会 丹羽 康正 愛知県がんセンター
岩切 勝彦 日本医科大学消化器内科学

パネルディスカッション8
クローン病の病態に応じた治療戦略

司会の言葉
クローン病(CD)は全消化管が標的となりうる原因不明の腸管全層性炎症性疾患である。狭窄、瘻孔といった腸管合併症を引き起こすため手術率・再手術率も高い。CDの病態は炎症主体から線維化を伴う構造破壊へと変化することがわかっている。そのため治療の中心を担っている分子標的治療の適切なタイミングによる介入が必要である。さらに、小腸病変と大腸病変の各薬剤治療に対する反応性の違い、肛門病変のマネージメントなど複雑で解決されていない問題も多い。従って、T2T治療コンセンサスが提唱されている現在においても、実臨床におけるCD治療は外科的介入も含めて個々の患者病態に応じて行われる必要がある。
本セッションではCDの罹病期間、腸管合併症、腸管外合併症、術後再発など様々な背景に応じた治療戦略の発表を募集する。また、免疫学的分子メカニズム、バイオマーカー、機械学習の導入など新たな視点での治療戦略の発表も歓迎する。
司会 仲瀬 裕志 札幌医科大学医学部消化器内科学講座
久松 理一 杏林大学医学部消化器内科学

パネルディスカッション9
切除不能膵癌のコンバージョン治療の最前線

司会の言葉
集学的治療の進歩によって従来切除不能とされてきた膵癌症例に対してもConversion surgery (CS)が行われる機会が増えている。しかし、その客観的な有効性を示すべくRCTは行われておらず、術後合併症や短期・長期予後などの有効性評価の多くは単施設の後方視的観察研究による検討である。また、そうしたなかで治療レジメンや治療期間も決まっておらず、CSに踏み切る適応およびタイミングも定まっていない。CSの多くは血管合併切除や再建、拡大手術を伴う高難度手術となるため、症例の選定は真に恩恵が得られる症例、すなわち治癒や予後の改善を見込むことができる症例に厳格に限定すべきである。そのためには、術後合併症や術後早期再発および予後不良となる因子の解明が必要であり、より安全で効果的な集学的治療の開発とともに検討が進められることが望まれる。本セッションでは、CSの現状と今後進むべき方向性について議論したい。
司会 竹山 宜典 近畿大学医学部外科
安田 一朗 富山大学第三内科

パネルディスカッション10
Interventional EUSの現状と展開

司会の言葉
近年、interventional EUSは急速に発展している手技であり、注目されている。診断では穿刺吸引細胞診や組織診に始まり、遺伝子診断や抗癌剤感受性試験、などが試みられている。治療では膵液体貯留に対するドレナージ、胆道・膵管ドレナージ、腹腔神経叢・神経節融解、腫瘍局注療法、血管治療などが行われている。特に治療手技はさらなる展開が期待されているが、高難度手技であること、処置具を含めた標準化の問題、さらには偶発症対策については今後の課題である。本パネルディスカッションでは各施設で行われている臨床成績をご発表していただくとともに、それらに基づく手技の工夫、改良や新たな試みについてもご発表していただきたい。多数の演題応募を期待する。
司会 入澤 篤志 獨協医科大学医学部内科学(消化器)講座
糸井 隆夫 東京医科大学消化器内科

パネルディスカッション11
慢性膵炎診療をめぐる諸問題 

司会の言葉
2019年に臨床診断基準が、2021年に診療ガイドラインが改訂されたが、慢性膵炎の日常診療においては未解決の課題も少なくない。例えば、臨床診断基準2019では早期慢性膵炎の診断基準が改訂されたが、改訂により慢性膵炎の早期診断、予後改善につながったかは明らかではない。病期診断においては、膵外分機能検査として唯一保険適応となっていたBT-PABA試験が施行困難となり、膵外分泌機能不全診断のハードルが高くなった。一方、治療面においては、成果のある断酒指導や栄養指導をいかにして行うか、期間やステントの種類、外科治療移行のタイミングを含めた内視鏡的膵管ステント留置の在り方、さらに膵癌スクリーニング、サルコペニア対策など長期経過観察法など、課題は少なくない。本セッションでは、慢性膵炎診療のさらなる進化を目指して、現在の慢性膵炎診療における課題やその解決策、さらに新たな診断・治療法開発をめざした基礎研究まで、広く演題を募集する。
司会 植木 敏晴 福岡大学筑紫病院消化器内科
正宗 淳 東北大学大学院消化器病態学分野

パネルディスカッション12
非代償性肝硬変の課題克服を目指して

司会の言葉
非代償性肝硬変に対する治療はここ数年の間に目覚ましい進歩を遂げている。原因療法としては非代償期にもDAA治療が可能となり肝予備能の改善が報告されている一方で、「Point of no return」の存在も示唆されており克服すべき課題も多い。近年増加しているNASHやアルコールによる非ウイルス性肝硬変も各種マーカーや薬剤が開発されているが種々の課題も明らかになりつつある。非代償期に生じる様々な合併症に対するマネジメントと共に、栄養療法・サルコペニアなどにも新たな対策が求められている。「肝硬変診療ガイドライン2020」が発行され3年が経過した。本シンポジウムでは次回2025年の改訂に向け、非代償期肝硬変の病態や各種合併症への対症療法の有用性と長期予後への影響を改めて検討すると共に、抗ウイルス療法・栄養療法・抗線維化療法・再生医療・肝移植などの根本治療の有用性や展望を基礎・臨床の両面から議論して非代償性肝硬変の課題克服を目指したい。
司会 名越 澄子 埼玉医科大学総合医療センター消化器・肝臓内科
吉治 仁志 奈良県立医科大学消化器代謝内科

パネルディスカッション13
B型肝炎の克服を目指した基礎・臨床研究

司会の言葉
B型慢性肝炎の治療目標は、”functional cure (HBs抗原消失)”を達成し、肝炎進展、肝がんの発症を抑止することである。現在の標準治療である核酸アナログでのウイルス排除効果、肝発癌抑止効果は極めて限定的である。近年HBVの複製・増殖機構の基礎知見をもとに、感染ライフサイクルのそれぞれのステップを標的とした治療薬の基礎研究開発が進んでいる。さらに抗ウイルス免疫応答を活性化する免疫賦活薬や治療ワクチンも開発されている。一部の薬剤は臨床試験がおこなわれ、核酸アナログ等との併用によるHBs抗原陰性化も確認されている。
本セッションでは、現在の治療の現状と問題点を踏まえ、新規治療法の開発につながる基礎研究、臨床応用についての最新知見をご発表いただき、B型肝炎克服のロードマップについて議論したい。
司会 考藤 達哉 国立国際医療研究センター肝炎・免疫研究センター
坂本 直哉 北海道大学大学院医学研究院消化器内科学教室

パネルディスカッション14
自己免疫性肝疾患の病態解明と診療展開

司会の言葉
自己免疫性肝疾患(AIH、PBC、PSC)では病態解明に向けた研究の進展が期待されており、新たな解析技術を取り入れながら、より詳細で網羅的な解析が必要である。診療においては、早期診断マーカーや重症例や治療抵抗例に対する効果的で安全な治療法の開発が求められているが、個々の病態が多様で治療反応性にも個人差があるため、病態や治療反応性に関する予測指標、治療の個別化につながるバイオマーカーの探索も重要である。さらに、薬物性肝障害、脂肪性肝疾患、IgG4関連疾患といった周辺疾患との鑑別やオーバーラップ症例のマネジメントについても更なる検討が必要である。併せて、慢性的な疾患であることから、わが国においてもQOL向上のための患者支援プログラムの充実や社会的な理解の向上も新たな課題である。本パネルディスカッションでは、病態や診断・治療における最新の研究成果についてご発表いただき、今後の展望や課題についても議論したい。
司会 大平 弘正 福島県立医科大学医学部消化器内科
田中 篤 帝京大学医学部内科

ワークショップ

ワークショップ1
知っておくべき消化器希少疾患:その臨床像と病態

司会の言葉
希少疾患はその希少性のために、しばしば確定診断や治療方法に難渋し、また遺伝性疾患などで小児期より発症する場合には移行期医療や医療費助成制度の格差など、臨床現場においてはさまざまな問題がある。一方、遺伝学的検査の発展により、希少疾患に対しても遺伝学的診断が実用化されるとともに、公的資金による臨床に直結した病態解明に向け研究が進められている。本セッションでは、消化管・肝胆膵を問わず、また単一施設・多機関共同問わず、希少疾患のデータ集積・解析をもとに、遺伝学的検査を含めた診断、治療の実態、さらに基礎的研究まで、広く演題を募集し、病態解明に向けた議論を行っていただきたい。
司会 松本 主之 岩手医科大学消化器内科分野
平田 敬治 産業医科大学第1外科

ワークショップ2
消化器疾患と再生医療の最前線

司会の言葉
再生医療は、臨床医学、基礎医学のみならず、広く生命科学全般から材料工学、倫理・法・社会的な側面に至るまで、幅広い領域の叡智を集めて発展を続けている。消化器疾患に関しても、重度の臓器機能不全や様々な難治性疾患の治療法開発に向けて、再生医療の試みが精力的に行われている。本ワークショップでは、分化・脱分化・分化転換といった臓器の恒常性維持機構に関する検討、間葉系幹細胞、細胞外小胞やiPS細胞を用いた基盤的な知見、ヒトへの臨床応用に関わるプラクティカルな経験、それらを支える新しい実験手法やマテリアルの開発など、幅広いテーマに取り組みたい。多彩な視点から再生医療の過去・現在・未来を見つめ、厳しい国際競争を勝ち抜くための基盤づくり、臨床応用へ向けて解決すべき課題など、幅広い議論をいただきたい。
司会 寺井 崇二 新潟大学大学院消化器内科学分野
妹尾 浩 京都大学医学部

ワークショップ3
リキッドバイオプシーがもたらす新たな消化器病治療戦略

司会の言葉
リキッドバイオプシーは血液中の循環腫瘍細胞や血液・体液中の腫瘍細胞由来のDNAやRNAを解析する検査であり、細胞外小胞を標的とした検査法の開発も進んでいる。これらの検査方法は、組織採取を必要としないことから、患者にとって低侵襲の検査として期待されてきたが、近年、様々な技術革新により実臨床において応用可能となっている。リキッドバイオプシーは、がんの早期診断はもちろん、病勢の把握あるいは治療法の選択などがんのprecision medicineの重要な鍵となりつつある。本ワークショップでは、これら様々な手法を用いた消化器領域のとくに治療戦略につながるリキッドバイオプシーの現状とその実用化に向けた今後の展望と克服すべき課題等について意欲的な演題の応募を期待する。リキッドバイオプシーがもたらす新たな消化器病治療戦略開発の現状を俯瞰し、日本から世界に向けた研究・診療の展開について議論したい。
司会 伊東 文生 聖マリアンナ医科大学消化器内科
竹政 伊知朗 札幌医科大学消化器・総合、乳腺・内分泌外科

ワークショップ4
オルガノイドが切り拓く消化器病研究新時代

司会の言葉
消化器疾患研究の一つのゴールは、症候とゲノム・形態の変化を統合的に理解し、疾患の発症メカニズム解明から新しい治療を開発することにある。しかし、患者組織等から得られた洞察の検証には、基礎研究者が得意とする分子生物学や動物モデルが必要であった。約10年前、オルガノイド技術が登場し、患者組織を試験管内の研究に落とし込むことができるようになった。任意の遺伝子を自在に操作し、患者組織で因果性に迫ることもできる。また、オルガノイドを用いた再生医学も展開されている。今、消化器病医はこの潮流にのり、自らのクリニカルクエスチョンを自らの手で解き明かせる時代となった。本ワークショップでは、次世代のリーダーとなる消化器病医に、臨床に根ざしたオルガノイド研究をわかりやすくプレゼンテーションしてもらい、多様な視点から議論を深めたい。特に、これまで研究をしていなかった臨床医も楽しんで参加できるワークショップとしたい。
司会 岡本 隆一 東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科消化器病態学
佐藤 俊朗 慶應義塾大学医学部医化学

ワークショップ5
消化器腫瘍の分子イメージング診断と治療の展望

司会の言葉
最近の消化器領域の腫瘍研究の進歩に伴い、腫瘍細胞や腫瘍微小環境の細胞に発現する様々な分子を標的とした診断、治療技術が進化しつつある。腫瘍の分子イメージングでは、ICG、5ALA、各種蛍光プローブ、光感受性物質を使用した癌の原発巣、腹膜播種やセンチネルリンパ節の微小転移の高感度診断法、低酸素イメージング等の消化管内視鏡開発が進み、臨床応用も開始されている。抗EGF受容体抗体を結合した光感受性薬剤を使用した光免疫療法(Photoimmunotherapy: PIT)も特定の癌種で保険承認され治療が開始されている。本ワークショップでは基礎から臨床、臨床検体を使用したex vivoまで幅広い基礎研究、臨床知見を発表していただき、今後のこの領域の展望を討論したい。
司会 片岡 洋望 名古屋市立大学消化器・代謝内科学
磯本 一 鳥取大学医学部消化器腎臓内科学

ワークショップ6
消化器移植医療の現状と今後の展開

司会の言葉
本邦での消化器の臓器移植としては肝移植、膵移植、小腸移植が施行されている。世界と比べてもその成績は良好であるが、さらなる成績の向上のための課題を明らかにし、今後の展開を議論することが本ワークショップの目的である。免疫学的問題点、免疫抑制の工夫、血管(脈管)合併症、薬物療法、あるいは長期的には原疾患再発、de novo発癌など、自施設成績・経験、多施設での共同研究の結果も歓迎する。内科、外科の視点からの各種臓器移植固有の問題点、解決策を述べて頂いてもよい。さらには保険適応となった膵島移植、痔瘻治療などの細胞移植についての演題も歓迎する。患者さんのWell-beingのために各施設での経験を持ち寄り、未来に向けての提言ができるような機会となれば幸いである。
司会 島田 光生 徳島大学消化器・移植外科
江口 晋 長崎大学大学院移植・消化器外科学

ワークショップ7
食道胃接合部腺癌の病態、診断、治療の最前線

司会の言葉
近年、H.pylori感染の減少、食生活の欧米化、肥満の増加等により、Esophago-gastric junctional adenocarcinoma(EGJAC)は増加傾向にある。一方、同部は内視鏡による観察が難しく、超音波内視鏡検査も困難であり、表在癌の早期発見や、その深達度診断に残された課題も多い。さらには近年、世界中で増加傾向にあるBarrett食道癌との鑑別診断も重要な課題である。
一方、治療面では、EGJACとBarrett食道癌で、内視鏡的摘除適応を分けるべきなのか?病理組織学的な根治度の評価をどうするのか?また、外科治療に関しては術式の選択や、リンパ節郭清範囲の決定等、残された課題も多い。さらには、欧米ではChem-radio therapy (CRT)も積極的に導入されており、本邦におけるCRT治療成績の解明も必要である。
そこで、本ワークショップではEGJACに関する診断面、治療面での最新の情報を幅広く公募し、本邦におけるEGJAC診療の課題を明確にしたい。積極的な応募を期待する。
司会 小山 恒男 佐久医療センター内視鏡内科
河野 浩二 福島県立医科大学医学部消化管外科学講座

ワークショップ8
十二指腸非乳頭部腫瘍の内視鏡治療の最前線

司会の言葉
表在性非乳頭部十二指腸上皮性腫瘍(SNADET)に対する内視鏡治療は、十二指腸特有の解剖学的な背景や他臓器に比べて内視鏡治療に伴う偶発症発生割合が高いことが課題である。径20 mm以下の SNADET に対してはこれまで従来法EMRが一般的であったが、最近ではcold snare polypectomy、underwater EMRなどの有用性も報告されており、治療法の選択基準に関して一定のコンセンサスはない。一方、径20 mm以上のSNADETに対しては、一括切除割合や根治性の点でESDの適応とされるが、標準的治療法として一般に普及しているとは言い難く、腹腔内視鏡合同手術との棲み分けに関しても議論がある。本セッションでは各内視鏡切除法の選択基準、各内視鏡治療における工夫や偶発症に対するトラブルシューティングを含めて、安全性と根治性を目指したSNADETに対する内視鏡治療成績と残された課題について広く議論したい。
司会 塩谷 昭子 川崎医科大学消化器内科
岡 志郎 広島大学大学院医系科学研究科消化器内科学

ワークショップ9
進行食道癌の新しい治療戦略

司会の言葉
この数年進行食道癌の治療は劇的な変化を遂げている。進行再発食道癌に対する緩和的化学療法では、免疫チェックポイント阻害剤が初回化学療法に標準治療として入ってきており、それに伴い生存成績も改善されている。一方で、化学療法+免疫チェックポイント阻害剤、免疫チェックポイント阻害剤を2剤併用する方法の選択基準や、狭窄症状あり症例、臓器機能低下時の対応など、食道がん患者に特有の問題も起こっており、実臨床での対応に苦慮するケースもある。また、周術期治療においても、JCOG1109の結果から術前DCF療法が標準治療となり、術後ニボルマブも選択肢となってきている。全体の治療成績は上昇したものの、毒性の管理や、患者選択など、実臨床において、新しい標準治療をうまく使いこなすために、検討すべきことは多い。本ワークショップでは、それらのクリニカルクエッションに対してディスカッションを行い、答えを出していきたい。
司会 佐藤 康史 徳島大学大学院医歯薬学研究部地域消化器・総合内科学
加藤 健 国立がん研究センター中央病院頭頸部・食道内科/消化管内科

ワークショップ10
大腸鋸歯状病変の病態解明と診療戦略

司会の言葉
大腸鋸歯状病変からの発癌経路が示され、Sessile serrated lesion (SSL)、Traditional serrated adenoma (TSA)の病態解明や診療戦略の確立が重要となった。SSLは粘液付着を伴う同色~褪色の扁平隆起で開II型pitを、TSAでは赤色絨毛状の亜有茎~有茎性隆起でIIIH、IVH、鋸IV型pitを指標に診断される。SSLの遺伝子学的特徴はBRAF変異およびMINT、p16、IGFBP7等の多数の遺伝子メチル化であり、癌化するとMSI-Hの頻度が高い。TSAではAPC、BRAF、KRAS変異など多彩な異常が認められる。いずれもp53変異が加わると悪性度が増す。最近、KRAS変異+RSPO融合/過剰発現を特徴とするSuperficially Serrated Adenoma(SuSA)も報告され、unclassified serrated adenomaのカテゴリーもできている。本WSでは、大腸鋸歯状病変の臨床的、組織学的、遺伝子学的な幅広い研究から、本症の発生経路や癌化プロセスの特徴、悪性度の評価方法等をご提案頂き、診断・治療戦略の問題点と解決策を探っていきたい。
司会 藤谷 幹浩 旭川医科大学内科学講座病態代謝・消化器・血液腫瘍制御内科学分野
(消化器・内視鏡学部門)
山野 泰穂 札幌医科大学医学部消化器内科学講座

ワークショップ11
膵癌早期診断の試み

司会の言葉
膵癌死亡率は増加の一途を辿っており、早期診断が予後改善に重要な役割を担っている。膵癌診療ガイドライン2022では、臨床症状、膵酵素、腫瘍マーカー、危険因子、膵画像異常所見を契機とし画像検査による精査を推奨している。特に、糖尿病の新規発症・増悪、IPMN、慢性膵炎、家族性膵癌家系の場合は精査・経過観察を行うことが望ましい。一方で近年、新規バイオマーカーの探索、また画像検査では、EUS、CT、MRIを用いた新たな診断法が模索されAI併用の成績もみられる。病理診断ではEUS-FNAとERCP下膵液細胞診の診断精度が向上しているが、合併症にも配慮が必要である。現在、膵癌早期診断のストラテジーを地域医療連携で展開した成績も散見されており、今後の対策型検診の構築に向けた議論をさらに深めることも、予後改善に重要である。本セッションでは、膵癌早期診断法に関する最近の知見をご発表いただき新たな可能性を探りたい。多数の応募を期待している。
司会 花田 敬士 JA尾道総合病院消化器内科
北野 雅之 和歌山県立医科大学第二内科

ワークショップ12
胆道癌の分子異常と治療の新展開

司会の言葉
胆道癌はバリエーションに富む疾患であり、発生部位のみならず分子・ゲノム異常も多彩である。最近ではActionable mutationに対する治療、免疫チェックポイント阻害剤が実際に臨床に導入されてきている。長期生存を目指すのであれば、早期癌の発見戦略もさることながら、分子異常をターゲットとした治療を盛り込んだ新しい診断・治療戦略の提唱も重要と考えられる。しかし、ゲノム検査のための検体採取の実際とタイミング、その取扱い、さらに免疫チェックポイント阻害剤・分子標的治療の副作用マネージメントなど、多くの知識が必要な領域である。また、最近では胆道癌の術前・後の化学療法、肝内胆管癌に対する重粒子線治療などが話題となっている。現在の胆道癌治療のHot topicを取り扱う本セッションでは、胆道がん分子異常の基礎・臨床的研究のみならず、治療成績向上に向けた新たな治療戦略についてディスカッションを行いたい。多くのアグレッシブな演題応募を期待している。
司会 平野 聡 北海道大学医学研究院消化器外科学教室II
伊佐山 浩通 順天堂大学医学部消化器内科

ワークショップ13
肝硬変の新しい診断法とリスク評価

司会の言葉
肝硬変の診断や予後評価として、M2BPGiなどの肝線維化マーカーに加えて、近年のデジタル技術の飛躍的な進歩により、各種モダリティの分解能向上や処理速度の高速化、エラストグラフィ、複数の画像や血清診断の融合による高精度診断が開発され、肝硬変や肝癌の診断プロセスならびに治療ストラテジーに大きな影響を及ぼしている。本セッションでは肝線維化診断、線維化進展症例のスクリーニングや発がん予測、治療効果判定など慢性肝疾患の診療全般において様々な画像診断モダリティ、肝画像診断法(AIを含む)、臨床情報と画像診断の組み合わせによるスコアリング、肝線維化マーカーなど最先端の知見を募り、肝硬変(肝線維化進展例)および肝癌患者の生命予後向上に寄与すべく広く議論したい。
司会 飯島 尋子 兵庫医科大学消化器内科学
田中 靖人 熊本大学消化器内科学

ワークショップ14
肝細胞癌の病態解明のためのトランスレーショナルリサーチ

司会の言葉
肝細胞癌は、様々なetiologyの慢性肝疾患を母地とするがんであり、その病態はheterogeneousであり、多様性に富んでいる。この多様性は、患者間だけでなく、同じ患者内でも見られ、また、異時性、多中心性発癌のため、初発肝細胞癌は必ずしも進行肝細胞癌とは同じ性質を持っていない。肝細胞癌の複雑な病態を解明することで、発癌メカニズムに基づく肝発癌抑止や早期診断、治療法選択、再発抑止、個別化治療に応用できると考えられる。特に、切除不能進行肝細胞癌の複合免疫療法への応用が注目されるところであろう。トランスレーショナルリサーチによって、研究成果が臨床現場に応用され、肝細胞癌の治療に貢献できることを期待している。肝細胞癌のトランスレーショナルリサーチに関する多くの演題の応募を歓迎します。
司会 加藤 直也 千葉大学大学院医学研究院消化器内科学
河田 則文 大阪公立大学大学院医学研究科肝胆膵病態内科学