当番世話人挨拶

第38回腎移植・血管外科研究会
当番世話人 齋藤 和英
新潟大学医歯学総合病院 泌尿器科 病院教授
移植医療支援センター 部長

第38回腎移植・血管外科研究会の当番世話人を務めさせて頂く、新潟大学泌尿器科の齋藤和英です。
2023年5月19日(金)、20日(土)の2日間、朱鷺メッセ 新潟コンベンションセンターにおいて研究会を開催いたします。

当教室が本研究会を担当させていただくのは、前教授である高橋公太先生が第20回を2004年に新潟県佐渡市で開催して以来2回目、19年振りとなり、大変光栄に存じます。

今回、研究会のテーマを “鬼手仏心 – SkillとSpiritの継承 − ”といたしました。昨今、医学・医療の諸分野における治療成績は飛躍的に向上し、生命予後のみならずQOLの向上ならびにSDMに象徴される、個人の尊厳を包括した取り組みが重要視されております。

本研究会は泌尿器科学の中でもとくに腎移植医療、透析療法、癌における血管外科領域の切磋琢磨を通じて広く社会に貢献することを目指してまいりました。

外科学の一分野である泌尿器科学は「手術」という侵襲的手段をもって治療を行います。移植医療では脳死・心停止ドナーからの臓器提供・摘出にも深く関わります。ある意味、「鬼の手」をもって、しかし医療の根底に一貫して存在する「病める患者を救う」という「仏の心・慈悲の心」をもって、真摯に日々向き合わなければなりません。
その中で猛烈な勢いで進歩する技術“Skill”を積極的に取り入れ、熟練し、新たに創成する一方、進取の精神”Spirit“をつねに携え、この分野を発展させ、後進に確実に継承してゆくことが私共に課せられた使命と考えます。

そうした観点から、本研究会では社会並びに医学・医療を広く俯瞰し、腎移植・血管外科領域における現在の到達点と今後の課題を見据えた企画を用意しました。救急医療や社会との接点から臓器提供の未来について考え、移植手術手技については腹腔鏡手術・ロボット支援手術の進歩も交えて議論します。末期腎不全に対する腎代替療法として腎移植と並び必須である血液透析療法のブラッドアクセス手術、泌尿器腫瘍学では分子標的薬・免疫チェックポイント治療薬全盛時代における拡大手術・血管外科手技の位置づけについても議論を深めます。

本研究会は、元来、会員が膝を突き合わせ、本音で喧々囂々の議論を戦わせることを旨として参りました。新型コロナウイルス感染症パンデミック収束の明確な兆しがいまだ見えない現状ですが、状況が許す限り、現地開催を主体とした熱い議論を期待しております。

初夏の新潟で皆様をお迎えすることを心待ちにしております。何卒よろしくお願いを申し上げます。