会長ご挨拶

会長 谷川 武
第67回日本職業・災害医学会学術大会
会長 谷川 武
順天堂大学大学院医学研究科公衆衛生学講座 教授

第67回日本職業・災害医学会を2019年11月9日・10日の2日間、東京千代田区神保町の学術総合センターにて開催するにあたり、皆様に謹んで御挨拶申し上げます。

本大会では「勤労者医療を支える新たな地平線―健康起因事故対策ならびに先進技術の活用を中心に―」をテーマとさせて頂きました。例えば、健康起因事故対策は、産業保健分野において重要な課題でありますが、その原因の解明や対策は未だ不十分です。健康起因事故の原因として、一般には脳卒中や心疾患などがあげられますが、これらは氷山の一角であり、睡眠呼吸障害や緑内障など多様な疾患や高齢化などの社会背景など様々な要因が関与しております。本学会では、健康起因事故対策について、多角的な視点から議論を展開することを目指し、様々な分野の先生方に御講演を依頼しました。ハーバード大学公衆衛生大学院産業保健部門のStefanos Kales教授からは、米国の運輸業における睡眠時無呼吸による健康起因事故の実態ならびにその対策について、そして、健康起因事故の新たな視点として、「勤労者の視野狭窄と交通事故」について、東北大学の国松志保先生に御講演を頂きます。

また、先進技術の活用については、筑波大学の山海嘉之先生にサイバニクス技術の職業・災害医学への展開について御講演を頂きます。さらに、東京医療保健大学の坂本すが先生からは「いつまでも生き生きと働き続けるために」というテーマで看護職の働き方改革について御講演を頂く他、独立行政法人労働者健康安全機構の有賀徹先生からは「小規模事業所における従業員の健康管理の課題と展望」、厚生労働省医務技監の鈴木康裕先生からは「わが国の医療政策における勤労者医療への期待」というテーマで御講演を頂きます。その他、「じん肺の歴史と今後の課題」「よく眠り、良く働く」「治療と就労の両立支援に関する国際的潮流―健康経営(healthy company)や社会的処方の在り方」「NIOSHにおける労災疾病対策の動向―日米の労災疾病対策の現状と課題―」「ワーク・エンゲイジメント:研究と実践のカレント・トピックス」「治療と就労の両立支援~IoTと就業規則標準フォーマットによる就労支援への挑戦~」の教育講演を、そして多様な視点からなる14演題のシンポジウムを企画しております。本大会において、職業・災害医学の更なる発展に資する活発な議論が展開されることを期待します。

本大会の会場である学術総合センターは、東京メトロ竹橋駅や神保町駅に近く、交通の便もよく、東京駅界隈など都心へのアクセスも良好です。皆様のご参加を心よりお待ち申し上げます。