会長挨拶
第61回日本肝臓学会総会
会長 黒崎雅之
(武蔵野赤十字病院 院長)
Challenging the Next Era of Hepatology~肝臓学の新時代への挑戦~
このたび、第61回日本肝臓学会総会の会長を拝命しました。東京での開催は6年ぶりとなります。会期は2025年6月5日(木)-6日(金)、会場は第50回日本肝臓学会総会と同じ、ホテルニューオータニ東京です。伝統ある本学会総会を主催させていただくことを光栄に存じます。多くの会員の皆様が会場にお越しいただけることを願い、医局員一同で力を合わせて鋭意準備を進めております。
特別講演として、東京科学大学から化学生命科学研究所教授の西山伸宏先生をお招きし「高分子ナノテクノロジーを基盤とするがんの診断・治療システムの創製」についてご講演をいただきます。また、シンガポールのDuke-NUS Medical SchoolのValerie Chew先生に「Targeting tumour immune microenvironment for biomarker and therapeutic discovery in hepatocellular carcinoma」についてご講演をいただきます。招請講演として、台湾のJia-Horng Kao先生から「Control of Endemic Hepatitis B in Asia: A Mission Possible?」、香港のVincent Wai-Sun Wong先生から「Non-invasive assessment of steatotic liver disease: From diagnosis, prognostication to the establishment of clinical care pathways」についてご講演をいただきます。この他にもアジアのエキスパートの先生方をお招きし、基調講演をいただくとともに、主題セッションでの司会や議論にもご参加いただきます。日本動脈硬化学会、日本小児栄養消化器肝臓学会、日本病態栄養学会、欧州肝臓学会とのJoint sessionも企画しています。
日本肝臓学会は、肝疾患の発生、進展、発がんなどすべての段階において、病態解明や治療開発を進めるとともに、臨床を変えるべく研究を積み重ねて議論を深め、多くの課題を克服してきました。その成果により、肝疾患の構造は大きく変化しつつあり、時代とともに診療・研究の潮流も変わり続けています。言い換えれば、肝疾患をめぐる課題は変化しながら、いまだ山積しています。新たな視点での診療・研究を含め、肝臓学が継続的に活性化し、より一層発展することを祈念して、本学会のテーマを「Challenging the Next Era of Hepatology~肝臓学の新時代への挑戦~」としました。伝統を継承するとともに、将来をけん引する先生方は新しい課題に対して果敢に挑戦していただきたい、そのような環境を提供できる学会であり続けたい、という私の思いを表現したく、武蔵野市在住のアーティストにお伝えしてポスターとビデオを作成していただきましたので、ホームページをご覧いただけますと幸いです。
本学会では、新たな試みとして、一般演題の中から優秀演題を選んだThe Best Abstract of JSH61という、主題セッションと並行して行われるセッションを設けました。キャリア年数でセッションを分け、Early Careerの先生方にはThe Best Abstract of JSH61(Early Career)というセッションで発表いただきます。是非ともEarly Careerの先生方からのご応募をお待ちしております。
参加型のインタラクティブ企画として、自由参加フリーディスカッション形式の企画「海外留学経験者の部屋:海外留学とキャリアパス」、「市中病院から発信する臨床研究」、「臨床研究に必要な統計の基礎知識と論文の書き方」、臨床的に重要なテーマを取り上げて意見交換するラウンドテーブル・ディスカッション形式の企画「肝がんで遺伝子パネル検査を出すタイミングとは?」、「MASLDは、はたして肝臓の病気か?」、「実臨床において、不顕性肝性脳症は正しく診断・治療・予防できるのか?」、「静脈瘤治療はIVRか内視鏡か:胃静脈瘤~異所性静脈瘤まで」、「肝がん治療 開腹 vs. 腹腔鏡 vs. ロボット支援」を用意し、若手の先生方も気軽に参加できる場を設定しましたので、楽しく意見交換していただきたいと思います。メディカルスタッフが参加できる特別企画も開催いたします。
東京は多くの海外旅行者が来訪し、新しい施設も次々とでき、活気にあふれていますので、学会の合間にお楽しみいただけるかと思います。多くの方々のご参加をお待ちしています。