第61回日本肝臓学会総会終了のご挨拶
拝啓 初夏の候、会員の皆様におかれましてはますますご清祥のこととお慶び申し上げます。
このたび、第61回日本肝臓学会総会を2025年6月5日(木)・6日(金)の2日間にわたり、ホテルニューオータニ東京にて開催いたしました。昨年、還暦を迎えた本学会にとって、新たな時代の第一歩となる記念すべき第61回総会において、会長を拝命いたしましたことは、私にとりましても大変光栄であり、身の引き締まる思いで準備を進めてまいりました。
本学会のテーマは、「肝臓学の新時代への挑戦」といたしました。この「挑戦」という言葉には、新たな課題に対して果敢に挑戦する思いと、学会の運営やプログラム構成においても、さまざまな新しい取り組みに挑戦したい、という強い思いを込めました。私自身、「診療の積み重ねから得られる情報」の重要性を常に意識してきましたので、本総会では「市中病院だからこそ可能な意義ある臨床研究」と「大学だからこそ成し得る先進的な基礎研究」のいずれにも光を当てたいと考えました。さらに、「若手医師が活躍できるセッション」「一般演題が主役となるセッション」「他学会とのジョイント企画」「メディカルスタッフ、専修医、研修医、医学生の発表機会」など、多様な視点と立場を尊重する、“懐の深い学会”を目指したいとの思いから、盛りだくさんのプログラム構成となりました。
演題を出していただいた先生方、プログラムの編成にご尽力いただいた先生方、座長や基調講演など多くの役割を担っていただいた先生方、会場にご来場いただいた先生方、これからオンデマンドを視聴していただける先生方、ご支援ご協力を賜りました関係者の皆様、すべての皆様に心から御礼を申し上げます。
武蔵野赤十字病院のスタッフで知恵を絞り、我々が日々の診療で感じるClinical Questionを反映させた主題セッションを数多く設けました。また、若い先生方に気軽に楽しく参加していただけるよう、多数のインタラクティブセッションを用意いたしましたところ、予想を大きく上回る参加と活発な意見交換をいただきました。国際化の推進にも力を入れ、海外から8名の先生方を招聘し、4つの英語によるシンポジウムを開催いたしました。
一般演題の中から高く評価されたものを「The Best Abstract of JSH61」として選定し、卒後15年未満のEarly Career部門とそれ以外のExpert部門に分けて表彰いたしました。応募者の43%がEarly Careerであり、若手医師の積極的な参加が見られたことを大変嬉しく思っております。受賞されたのは、Early Careerでは上位4.8%、Expertでは上位2%の、まさに狭き門を突破された先生方です。特別なストラップをお付けいただいたうえで、評議員懇親会にて表彰し、2日目午後には独立セッションでのご発表をお願いしました。
また、研修医・専攻医・医学生セッションにおいても優秀演題を選出し、同様に表彰の場を設けました。若い世代の先生方が生き生きと、そして楽しそうに参加されていた姿を拝見できたことは、何よりの喜びでした。
会場では独自の工夫を凝らしたフォトスポットを設置し、学会として初の試みとなるスタンプラリーも好評をいただきました。
幸い天候にも恵まれ、最終的に4,000名を超えるご参加をいただき、盛会のうちに閉会することができました。 6月23日よりオンデマンド配信も開始いたしますので、ご参加いただけなかった皆様や、再度ご視聴を希望される方々にぜひご利用いただければ幸いです。
2022年に会長を拝命して以来、武蔵野赤十字病院のスタッフ一同とともに約3年間、心を込めて準備に取り組んでまいりましたが、至らぬ点も多々あったかと存じます。どうかご寛容のほどお願い申し上げます。
末筆ながら、会員の皆様のご健勝とご多幸を心よりお祈り申し上げますとともに、本総会開催にあたり賜りましたご支援・ご協力に深く感謝申し上げ、ご挨拶とさせていただきます。
敬具
第61回日本肝臓学会総会
会長 黒崎 雅之
(武蔵野赤十字病院 院長)