会長挨拶

第109回日本消化器病学会総会 会長

中尾一彦
長崎大学大学院医歯薬学総合研究科消化器内科学教授

第109回日本消化器病学会総会を2023年4月6日(木)~8日(土)の3日間の予定で、長崎市の出島メッセを会場として開催させていただきます。日本消化器病学会は1898年に創設されて以来、発展を続けてきており、現在の会員数は約35,000人となっています。1899年に第1回総会が開催され2014年には100回を数えています。この度、この歴史と伝統のある日本消化器病学会の第109 回総会会長を拝命し、大変光栄に存じております。長崎の地で総会が開催されるのは、1999年に国立長崎中央病院(現国立病院機構長崎医療センター)院長の矢野右人先生が、第85回総会を主宰されて以来24年ぶりとなります。2009年に新たに開設された長崎大学消化器内科学教室にとって、総会開催は初めてのことであり教室員共々、身の引き締まる思いで準備を進めているところでございます。

本総会のメインテーマは、「人生100年時代、健康長寿を支える消化器病学を目指して」といたしました。医学の進歩は勿論のこと、栄養・保健衛生、生活環境の改善により、人類の寿命は大きく延長してきました。消化吸収、代謝の中心臓器である消化管、肝胆膵の機能維持は、健康に欠かせないものであり、消化器疾患の治療ならびに制御は健康長寿に直結すると考えられます。一方で、高齢に伴う身体機能低下や認知機能低下は、合併する各種疾患の治療方針のみならず、人としてのQOLそのものに大きな影響を与えています。生きとし生けるもの死は免れないものですが、人生100年の長寿時代を迎えた今、全人的な観点から、消化器疾患の治療、マネジメントについて議論いただき、健康長寿を考える場にしていただければ幸いです。 

本総会では特別・招聘講演4題、特別企画として座談会「COVID-19、3年の総括、これからに向けて」を組ませていただきました。国際セッションでは消化器癌のマネジメントをテーマとしました。また、シンポジウム 14題、パネルディスカッション 14題、ワークショプ 15題の総計43の主題セッション、並びに一般演題セッションを予定しております。シンポジウムは今後の消化器病学の取り組むべき中核的・先進的な課題、パネルディスカッションは高齢者の消化器疾患治療など、共通の問題について成果を示し討論を行う課題、そしてワークショップは進行中の研究など、挑戦的な課題を取り上げるようにいたしました。国際、及び主題セッションの司会は、それぞれの領域で日本消化器病学会を牽引されている気鋭の先生方にお願いし、セッションの企画・構成をすべてご一任しております。自由闊達な議論が展開されることを期待しております。また一般演題セッションでも、これからの学会を担う若手の先生方に、活発な質疑応答をいただければと存じます。

最後に、第109回日本消化器病学会総会の企画・プログラム作成におきましては、本学会の役員・評議員の先生方、プログラム委員の先生方に大変お世話になりました。この場をお借りして、厚く御礼申し上げます。長崎、出島での3日間が皆様にとって有意義なものになることを心より願っております。