会長挨拶

大原 毅
(兵庫県立はりま姫路総合医療センター)

この度、第60 回日本糖尿病学会近畿地方会を2023 年10 月14 日(土)に神戸国際会議場・神戸ポートピアホテルにて開催させて頂きます。日本糖尿病協会 兵庫県支部の稗田欣司様が世話人を務められます第59回日本糖尿病協会近畿地方会と同時開催となります。

今回の学会のテーマは、「地域で支える糖尿病診療」とさせて頂きました。

糖尿病の治療は日々進歩しており、新しい薬物療法やテクノロジーの臨床使用が可能となってきています。今や糖尿病は日本人のCommon disease となっており、その診療の主体は地域に根付いた医療機関が担っているといっても過言ではありません。多くの糖尿病を有する人たちに対して最適な治療を行うためには糖尿病を専門とする医師だけでなく、地域の医療連携を通じて多くの医療従事者と協力して糖尿病診療を支えていく必要があります。

一方、糖尿病は自覚症状に乏しく、検査をしなければ自身が糖尿病であることがわからないため放置されていたり、一旦治療を開始しても中断してしまうことも少なくありません。また、糖尿病治療は継続することが重要であり、食事や運動といった日常生活と深く関連していますが、糖尿病を有する高齢者の一人暮らしやフレイル、認知症、介護の問題など、糖尿病診療は医療従事者のみならず社会福祉的サポートを含めた地域全体で支えていく必要があります。

このように糖尿病を有する人を取り巻くさまざまな現状を把握し、協力してより良い診療が行えるよう地域で支えることが重要であると考え、今回のテーマとさせて頂きました。実地臨床での問題点や解決に向けての工夫などを議論し、今後の糖尿病診療の参考にして頂くことが出来れば嬉しく思います。

「特別講演」では本年の春に開催された第31 回日本医学会総会の会頭を務められました春日雅人先生に〈糖尿病研究を回顧して〉と題してご講演頂きます。「シンポジウム1」〈地域で支える糖尿病診療〉では糖尿病診療を地域で支える様々な活動を各府県よりご紹介頂き、「シンポジウム2」〈糖尿病治療の新しい展開とその課題〉では新しい作用機序の薬物療法や手術療法、デバイス等についてご講演頂きます。その他、「指定講演(2 題)」や「教育講演(5 題)」、「次世代糖尿病内科医育成委員会による症例検討会」、「糖尿病を持つ(ある)人の心理・行動と支援について学ぶセミナー」等、様々なプログラムを準備しています。

対面での意見交換の意義や重要性が再認識されるようになっており、今回の学会は現地での開催を予定しています。多くの企業からの協賛を頂き、ランチョンセミナーでの美味しいお弁当、会場内の3 ヶ所のホスピタリティスペースでは心ばかりのお菓子なども準備していますので、皆様方に楽しんで頂ければ幸いです。

同時開催される第59 回日本糖尿病協会近畿地方会では日本糖尿病協会 兵庫県支部の稗田欣司世話人の下、コロナ禍で中止を余儀なくされていた交流会も再開され、4 府県の代表者の貴重な体験談をお話頂く予定です。

多くの方々のご参加を心よりお待ちいたしております。