世話人挨拶

第58回糖尿病学の進歩 世話人
池上 博司
(近畿大学医学部 内分泌・代謝・糖尿病内科)

第58回糖尿病学の進歩の世話人を担当致します近畿大学の池上博司です。開催にあたりまして、ひとことご挨拶申し上げます。

糖尿病学の進歩は、年次学術集会と並ぶ、糖尿病学会主催の2大イベントの一つです。年次学術集会が主として最先端の研究発表の場であるのに対して、糖尿病学の進歩は生涯教育、post-graduated courseとしての意味合いが強く、糖尿病における最新の知識や技術、臨床・研究面における最近の進歩を学ぶ貴重な機会を提供する学会です。糖尿病診療に携わる医師と看護師、薬剤師、管理栄養士、臨床検査技師、理学療法士などのメディカルスタッフが一堂に会し、糖尿病の臨床・研究に関する最先端を学び、議論する場として60年近くの歴史を重ねてきました。

今回の開催にあたりましては、「糖尿病学の真髄:心・技・知・考」をテーマとしました。インスリン発見から100年以上が経過し、糖尿病学・糖尿病診療は格段に進歩しています。しかし、糖尿病の治癒という究極の目的は未だ達成できていません。患者さんと診療チームが総力をあげて、糖尿病のない人とかわらない人生のために日々努力しているのが現状です。全ての疾病への対応がそうなのですが、特に糖尿病の治療・診療においては、しっかりとした「心」をもち、最先端のテクノロジー「技」と最新の知識「知」を結集し、叡智を絞ること「考」が大切です。心・技・知・考のどれひとつがかけても、糖尿病治療の最終目標は達成されません。今回のテーマ「心・技・知・考」はそのような思いで私が創った造語です。2017年に第54回日本糖尿病学会近畿地方会を担当させて頂いた際に初めて掲げたことばを今回近畿支部担当で開催する糖尿病学の進歩に際し、全国版として使わせて頂くことと致しました。糖尿病の基礎・臨床両面において「心・技・知・考」を駆使することで、研究面では糖尿病の治癒へ向けて、臨床面ではよりよい診療と治療目標の達成、「糖尿病がない方とかわらない人生」から「糖尿病があるが故の一病息災、健康長寿」への展開が可能になると考えます。

会期は令和6年2月16日、17日の2日間、会場は京都宝ヶ池の国立京都国際会館です。きりっと空気が澄み渡る冬の京都を満喫しつつ、糖尿病学の進歩を学び、考える機会になるよう全力を挙げて準備を進めています。対面開催を前提とし、近畿大学が誇る「近大マグロ」の解体ショーを懇親会でご披露して、皆様にご賞味頂きたいと思っております。多数の皆様のご参加をお待ちしております。