さて、私議 武本佳昭は、この度、第28回日本腎不全外科研究会の大会長に推挙され、平成31年7月5日〜6日の2日間、大阪国際会議場を会場として学術を開催すべく鋭意準備を進めております。
日本腎不全外科研究会は、1992年に腎不全患者にかかわる外科治療の円滑な施行を目的に設立され、外科医と透析医の連携を目指して毎年学術集会が開催されております。実際に1992年当時は消化器外科・心臓血管外科・循環器内科のドクターが血液透析患者は特別であるとの考えを持っておられたと思います。その当時は、冠血管の石灰化が強い血液透析患者はカテーテル治療の対象に
なっていなかったことを記憶しております。また、大阪透析研究会では毎年の透析患者の実態調査を行っており、1992年の大阪府下における透析患者は9215名と報告されております。そのうち、消化器系の手術を受けた患者は110例;1.19%、心血管系の手術を受けた患者は289例;3.13%(インターベンション含む)であありました。一方2017年の大阪府下における透析患者は25365名と報告されております。そのうち、消化器系の手術を受けた患者は957例;3.77%、心血管系の手術を受けた患者は1617例;6.37%(インターベンション含む)でありました。現在は1992年当時と患者さんの年齢構成及び疾病構造は少し異なりますが、手術件数は非常に少ないと思われます。これは、最近の医療器具及び医療の進歩に伴い透析患者における手術適応が拡大してきていると考えられます。
そこで、第28回の研究会では「腎不全患者を特別にしない外科療法を目指して」をテーマに研究会を開催することにいたしました。
現在の透析導入患者の原疾患の変遷および高齢化に伴い、透析医療に関して多くの諸問題が出現していますが、本年も多くの透析医療従事者、透析関係企業の方々ならびにこの分野に関心を抱く臨床外科医、研究者が参加され、本会を通じて、透析患者さんが抱える諸問題の解決に寄与し、ひいては透析患者のQOLの向上を目指した研究会としたいと考えております。