会長挨拶

第60回日本肝臓学会総会
会長 田中 靖人
(熊本大学大学院生命科学研究部 消化器内科学講座 教授)

テーマ「A Better Liver, A Better Life!~栄光の架橋2024~」

 第60回日本肝臓学会総会の会長を拝命し、2024年6月13日(木)-14日(金)に熊本にて学術集会を開催することになりました。60回目の節目の総会を主催することは身に余る光栄です。熊本での開催は佐々木裕 前教授の2015年以来となり、今回、2019年に完成した「熊本城ホール」で開催いたします。2024年は古城医学校出身(熊本大学医学部の前身)の北里柴三郎が採用された 新千円札が発行される記念すべき年でもあります。多くの会員の皆様が、震災から復興した熊本に直接お越し頂けることを期待し、医局員・同門一同力を合わせて準備を進めております。

 特別講演として、私の恩師で2020年にノーベル生理学・医学賞を受賞されたHarvey J Alter先生に“Hepatitis C: Then, Now and Beyond”、熊本県出身の名古屋大学未来社会創造機構教授 馬場嘉信先生に「ナノバイオAIデバイスと量子生命科学が拓く未来医療」についてご講演を依頼しております。招請講演として、熊本大学が誇る臨床研究・基礎研究領域の第一人者、国立循環器病研究センター名誉総長の小川久雄学長および国立国際医療研究センター研究所長の満屋裕明先生、さらに老化・がん化研究の第一人者で名古屋市立大学の先輩でもある東京大学医科学研究所 所長/癌防御シグナル分野教授の中西真先生、肝癌研究で有名な熊本出身の星田有人先生や、肝リンパ管・線維化研究で有名な宮崎出身の岩切泰子先生を招聘します。

 日本肝臓学会が目指す国際化への取り組みの一環として、アジアなど海外から各肝臓学領域の著名な先生を招聘し、6つのテーマからなる「International Japan Joint Symposium in Asia」を企画しております。また、これまで開催してきたEASLとのJoint sessionに加えて、韓国肝臓学会KASL及び台湾肝臓学会TASLと初めてのJoint symposiumを開催します。パネルディスカッション・ワークショップの他、例年通りキャリア支援・ダイバーシティ推進委員会の特別企画、メディカルスタッフが参加できる特別企画、他学会とのJoint sessionも複数企画しております。肝臓学・肝疾患領域を超えて、消化器疾患・臓器連関に関する多様なテーマを取り上げ、内科、外科、小児科、放射線科、基礎系すべての先生方、そして各種メディカルスタッフの方々にも楽しく活発に議論できる場を設定します。

 最後に熊本の紹介です。本会の紹介ビデオでは「あんたがたどこさ」の音楽を使用しています。熊本といえば、火:阿蘇山、水:阿蘇からの天然水、湯:県内118ヶ所の温泉(黒川温泉など)、史:北里柴三郎、古くは熊本城を築城した加藤清正が有名で、彼が尾張出身であることは愛知県出身の私にとって何かの縁かと思っております。さらに、食:馬刺し、阿蘇の赤牛、熊本県が誇る菊鹿ワインなど是非ご堪能いただければと思います。学会の合間にこのような熊本の豊かな幸を皆様に楽しんでいただくことを、熊本県営業部長兼しあわせ部長「くまモン」共々心より期待しております。

 今回の総会では、現地での「熱い議論」を取り戻し、日本の肝臓学を熊本から世界へ発信する足がかりとなれば幸いです。多くの方々のご参加・ご登録をお待ちしております。

2023年6月吉日