会長挨拶
第108回 日本消化器病学会総会
会長 榎本 信幸
山梨大学医学部第一内科 教授
第108回日本消化器病学会総会を、2022年4月21日(木)〜23日(土)の3日間の予定で、東京の京王プラザホテルを会場として開催させていただきます。日本消化器病学会は1898年に創設されて以来、発展を続けてきており、現在の会員数は約35,000人となっています。総会は、明治32年に第1回が開催され、平成26年には100回を数えています。私は1984年に初めて地方会で症例発表をさせていただいて以来、40年近くにわたって日本消化器病学会で活動させて頂きました。この度、この歴史と伝統のある日本消化器病学会の第108回総会会長を拝命し大変光栄に存じております。また山梨大学の内科教授が総会の会長を仰せつかるのは長い歴史の中で初めてのことであり教室員共々、身の引き締まる思いで準備を進めているところでございます。
本総会のメインテーマは、「消化器病学の夢〜Dream of Gastroenterology」と致しました。消化器病学会の長い歴史が示しますように、消化器臓器の疾患は常に医療・医学の中核的に課題であり大きな進歩を遂げてきました。感染症を背景とする消化性潰瘍や胃癌、肝炎や肝癌はそれぞれノーベル賞(HP, HBV, HCV)受賞に結びつく研究により克服に向かって大きく前進しました。一方、多くの悪性腫瘍や難治性の炎症性疾患などはその病態解明や治療開発に大きな進歩は認められるものの克服にはまだ多くの壁が残っております。本総会が「消化器病学の夢」をテーマに消化器病の克服に向けた未来志向の議論の場になることを願っております。
本総会では、シンポジウム16題、パネルディスカッション13題、ワークショプ17題の総計46の主題セッションおよび一般演題セッションを予定しております。シンポジウムは今後の消化器病学の取り組むべき中核的な課題、パネルディスカッションは討論を通じて本質が浮かび上がるよう課題、そしてワークショップは未来志向の取り組みが期待される挑戦的な課題を取り上げるようにいたしました。いずれのセッションでもこれまでの成果の総括にとどまらず私たちが「消化器病の克服」という「夢」にむかってどのように取り組むかが示される内容を期待しております。
本総会はこれからの学会を担う先生方の発表と討論を中心に据えたいと存じます。主題セッションの司会の先生方は日本消化器病学会をリードされている気鋭の皆さまにお願いし、セッションの構成をすべてご一任し内容に創意工夫を凝らして頂くことにいたしました。セッションの議論が盛り上がり参加者にご満足いただけるかどうかは司会の先生方の力量にかかっていると存じます。是非、発表者の研究成果とともに司会者の企画進行にもご注目いただければと存じます。また一般演題セッションはこれからの学会を担う若手の先生方のためにオンサイト、オンラインのいずれにしましてもライブのディスカッションを大切にするようにしたいと存じます。
最後に、第108回日本消化器病学会総会の企画・プログラム作成におきましては、本学会の役員・評議員の先生方、プログラム委員の先生方に大変お世話になりました。この場をお借りして、厚く御礼申し上げます。新型コロナウイルス感染の対策が進むなかどのような開催形式になるにいたしましてもこの3日間が「消化器病学の夢」の実現に有意義なものになることを願っております。