会長挨拶

第58回日本臨床腎移植学会
会長 大段秀樹
(広島大学 大学院医系科学研究科 消化器・移植外科学 教授)

この度、第58回日本臨床腎移植学会を2025年2月6-8日(木-土)に広島国際会議場において開催させていただくことになり、光栄に存じております。会の開催準備に際し、ご指導とご支援を賜ります会員の皆様に熱く御礼申し上げます。

本学会は1969年腎移植臨床検討会として発足し、腎移植臨床研究会の時期を経て2002年日本臨床腎移植学会へと発展してきました。その歴史の中で、第13回腎移植臨床検討会を、故江崎治夫先生(広島大学第2外科 第3代教授)が宮島観光会館に於いて1980年2月に主催されておられます。1971年に中四国初の生体腎移植の成功をおさめられた土肥雪彦先生(1985年に第4代教授就任)が中心となられ、検討会を切り盛りされたと伺っています。記録によりますと、主題テーマは「新しい免疫抑制剤」と「5年以上長期生着例の検討」で、26主題演題と35一般演題の合計61演題が発表され、熱い議論が交わされ、大いに盛り上がったということでした。

それから半世紀近い時を経て、腎移植の成績は、移植手技の向上、免疫抑制剤の開発、拒絶反応の機序の解明などにより年々向上し、10年生着率は90%を超えています。移植医療の質の向上に伴い、診療報酬の面からも腎移植の推進に資する取り組みや実績等が評価されるようになり、腎移植のさらなる普及推進が図られている現状です。

一方、人生100年時代を迎えようとする現在、長い人生をより充実したものにするために人々はライフコースの見直しを迫られています。腎代替療法の選択においても、長寿社会に即して考えなければなりません。小児から高齢者までが安心・安定して暮らすために、そして健康寿命が長くあるために、腎移植医療をどのように進化させるのかという問いに対峙すべく、本学術集会のテーマを” Kidney Transplantation in life ”とさせて頂きました。

冬の広島は、牡蠣などの「海の幸」、冬野菜や柑橘といった「山の幸」など、おいしい味覚を堪能いただけます。移植医療の発展を願う同士と一緒に、情報交換や親交を温める楽しい時間を過ごしていただけるよう準備をしてお待ちしております。沢山の皆様のご参加をお願い申し上げます。