骨・軟部腫瘍は運動器疾患のひとつの分野ですが、腫瘍を専門としない整形外科医にとって、やや疎遠な領域であり、がんに対しては、かかわりを避ける傾向にあります。今や国民の2人に1人ががんに罹患し、治療を受けています。分子標的治療薬や免疫チェック阻害剤などの新規治療の導入により、がん患者の予後は飛躍的に改善してきています。その一方で、がん患者は、病的骨折を生じると歩行機能が障害され、performance status (PS)が悪化することで、化学療法を受ける機会を失うことがあります。がん患者が最適な治療を受けるために、より多くの整形外科医が骨転移により生じた運動器の問題に関わることが求められています。