第54回日本整形外科学会骨・軟部腫瘍学術集会第54回日本整形外科学会骨・軟部腫瘍学術集会
English

ご挨拶

第54回日本整形外科学会骨・軟部腫瘍学術集会を2021年7月15日(木)と16日(金)の2日間にわたり、広島国際会議場にて開催させていただきます。伝統ある本学術集会を広島大学整形外科学教室ならびに同門会の協力のもと、呉医療センター・中国がんセンターで担当させていただくことを大変光栄に存じます。

メインテーマは「運動器の腫瘍とがんロコモの未来を築く」と致しました。骨・軟部腫瘍は、運動器に発生した腫瘍であり、腫瘍学的予後の改善とともに運動器の障害の改善が課題となっています。近年、MRIやエコーなどの進歩、PET/CTの導入などにより診断技術が飛躍的に向上し、腫瘍切除における縮小手術や再建手技の進歩によって、より機能的な患肢温存が期待されています。

骨・軟部腫瘍は運動器疾患のひとつの分野ですが、腫瘍を専門としない整形外科医にとって、やや疎遠な領域であり、がんに対しては、かかわりを避ける傾向にあります。今や国民の2人に1人ががんに罹患し、治療を受けています。分子標的治療薬や免疫チェック阻害剤などの新規治療の導入により、がん患者の予後は飛躍的に改善してきています。その一方で、がん患者は、病的骨折を生じると歩行機能が障害され、performance status (PS)が悪化することで、化学療法を受ける機会を失うことがあります。がん患者が最適な治療を受けるために、より多くの整形外科医が骨転移により生じた運動器の問題に関わることが求められています。

骨・軟部腫瘍の治療の向上には、今後も幅広い研究と進歩発展が不可欠です。切除不能腫瘍に対する重粒子線治療や、悪性軟部腫瘍に対する新規薬物療法など、病理医、放射線科医、形成外科医、腫瘍内科医など各方面の専門家の連携による集学的治療の推進も重要な課題です。また、がん患者が最適な治療を受けるためには、一人でも多くの整形外科医が、がんにより生じた運動器の問題に関わる必要があります。腫瘍の専門家だけでなく、多くの整形外科医が興味を持って参加できるような学会を目指し、企画を練っています。

会場の広島国際会議場は、広島市の中心部にある広島平和記念公園の敷地内にあります。少し足をのばせば、世界遺産の厳島神社(宮島)や大和ミュージアム(呉)などもあります。多くの皆さまのご参加をお待ちしております。