大会長挨拶
小杉 寿文
(佐賀県医療センター好生館)
皆さんこんにちは。日本死の臨床研究会第45回年次大会の大会長を拝命いたしました、佐賀県医療センター好生館の小杉寿文と申します。
今、私たちは世界規模の感染症のまっただ中に有り、生き方そのものを考え直すことを迫られております。しかし、考えてみますと、今までも、毎年のように世界中で繰り返される自然災害や食糧危機、何十年、何百年も前から繰り返される戦争、それによって増え続ける難民問題など、多くの生命が脅かされる重大問題に直面して参りました。しかし、すべて先送りにしてきたわけで、この新型コロナウイルス感染症の問題だけでは済まされないのかもしれません。
このような世界規模での問題も山積みされていますが、私たち個人個人が向きあわざるを得ない「生きる死ぬ」という自然現象についても、目を背けてはいないでしょうか。
ただ長生きしたいという欲求だけを追求してきた人類は、不老長寿の特効薬を見つけられないことに未だに納得していないかのようです。そればかりか、死という自然現象をあたかも病であるかのように医療の中に取込んでしまいました。ケアではなく医療そのものを目的としているのを感じます。
日本死の臨床研究会第45回年次大会では「暮らしの中にある看取りへ」というテーマを考えました。医療からケアへ、病院から生活の場へ看取りを取り戻したいという思いからです。インターネットによる完全WEBでの開催ですが、1人でも多くの方にご参加頂き、活発な議論ができることを楽しみにしております。
梅野 理加
(介護付き有料老人ホームかめやま)
みなさん こんにちは。日本死の臨床研究会 第45回年次大会の大会長をさせていただきます。介護付き有料老人ホームかめやまに勤務しています 梅野 理加です。
初めに、新型コロナウイルス感染症によりお亡くなりになられた方々、ご遺族の方々のお悔やみを申し上げます。罹患されている方々に心よりお見舞い申し上げます。新型コロナウイルス感染が長期化している状況の中で、社会経済と感染対策の両立を図らなければならない中、人々の生命と健康と生活・くらしを守るために、様々な場面で支援に取り組んでおられる医療・看護・介護 従事者の皆様ならびに関係者の方々に敬意を表しますと共に、心より感謝申し上げます。
さて、今回、日本死の臨床研究会では 第45回年次大会を開催することになりました。
従来、その土地で全国の現場の方々と共に対面し語り明かしたいところではありますが初の試みとして完全web開催となります。大会会期は先行オンデマンド配信を含め2021年 11月22日から12月26日となります。このうち1部のプログラムは12月4日5日の2日間オンラインでのライブ配信を行います。
テーマは「暮らしの中で看取る」 です。このテーマは、死の臨床において、死と向き合う現場から全人的ケアを通して、全ての人が、人生の最期の時まで、希望する生き方を実現できるように、人々の暮らしがとても大切であると感じたからです。
それは、改めて考えると当たり前のように思いますが、老いていく中で人は暮らしそのものが変化していきます。また、私がホスピス病棟の現場から現在は老人ホームでの経験、育児と介護のダブルケアの経験から感じたこととして、人は病気を患い、治療の中で暮らしが患者、家族周りの人すべてに変化をもたらします。
そのような社会の中で、その人の命を守るため最優先される医療と変化していく暮らしの中で私達は援助者としてともに語り合い、どのように考え支えていくことができるのかを皆様と一緒に考えていきたいと思います。
いつもの年次大会とはいきませんが、できるだけ皆様と率直に意見交換ができるように企画し、事例検討も行いたいと思います。死の臨床研究会だからこその会にしていきたいと思いますので皆様、日ごろのケアで印象深いもの、悩んでいることなど語り合えたらと思います。ぜひご参加よろしくお願いします。