会長挨拶

第33回日本がん転移学会学術集会・総会
会長 𠮷治 仁志
奈良県立医科大学 消化器・代謝内科

第33回日本がん転移学会学術集会・総会開催にあたって

このたび第33回日本がん転移学会学術集会・総会を2024年(令和5年)6月27日(木)・28日(金)に奈良市の奈良春日野国際フォーラム 甍~I・RA・KA~で開催させていただくこととなりました。私は米国留学から帰国した後、医師になってから10年目で本学会へ入会させて頂いた周回遅れのスタート組です。NIH/NCIでは腫瘍における血管新生について研究しており、血管新生の概念を提唱したFidlerの流れをくむ著明な先生方が日本における最先端の研究を行われていることを知り、遅まきながら入会しました。その後、本学会で日本の最先端の血管新生を含めたがん転移研究を勉強させて頂き、基礎と臨床を結ぶ研究のあり方について多くのことを学びました。今回本学会学術集会・総会を奈良で初めて開催する機会を与えて頂きました理事の先生方をはじめ関係各位に深く感謝致します。がん転移学会は臨床・基礎の医師のみでなく薬学など他分野の研究者も多く参加されており、臨床医の目とは違った観点のご指摘を受けることができると共に、新しい研究のモチベーションを育ててくれる貴重な学会であると思います。私の専門領域である肝癌でも、血管新生阻害薬と免疫チェックポイント阻害薬の併用がこれまでにない抗腫瘍効果を示し生存期間を大幅に延長することが示され新たなパラダイムシフトが起こっています。一方で、がんの転移制御は未だ解決するべき課題が多く残されており、患者さんの予後改善のため転移機構の解明が喫緊の課題です。

こうした背景のもと、今回のテーマを「癌転移研究の未来予想図」とさせて頂きました。古都奈良から今後の研究の方向性を探り、がん患者さんの予後改善へと繋がる未来へ向けた新しい研究の息吹が感じられる学会になることを期待しています。

開催形式ですが、個人的に学会の目的の1つとして「直接対面で討論を行う」ことは非常に重要な要素であると考えています。コロナの状況にもよりますが、基本的に2023年と同様に現地での開催を予定しています。

会場は野生の鹿 (古来から奈良では鹿は神の使者と考えられています) が集まる奈良公園、若草山の麓にあり、先生方には奈良らしく「能舞台」で日頃の成果を発表して頂きます。徒歩圏内に東大寺、興福寺など観光名所も多く薬師寺や唐招提寺も30分以内で移動可能ですので学会後に古都散策も楽しんで頂ければ幸いです。奈良市へは京都、大阪から近鉄電車で30分、伊丹空港から空港バスで約50分でお越し頂けます。

なお、今回学会シーズンでもあり2日目が関連学会と重なっています。演題登録時に発表希望日を伺いますので、日本における最初の都であった奈良から新時代における未来へ向けた発信ができるよう多数の演題応募および学術集会への参加を心よりお待ちしております。

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