今回、第95回日本胃癌学会総会を2023年2月23日(木)より25日(土)までの3日間、ホテル、ロイトン札幌(札幌市)にて開催させていただくことになりました、静岡県立静岡がんセンター内視鏡科の小野裕之です。
世界をリードしてきたわが国の胃癌診療の大きな柱の一つ、伝統ある胃癌学会の総会会長を拝命し、光栄であるとともにその大役に身が引き締まる思いであります。
本総会のテーマは、「変わりゆく胃癌を追求する!Pursuing changing horizon of gastric cancer!」としました。ピロリ菌感染の減少とともに、かつてあたりまえであった萎縮性胃炎や腸上皮化生が減少し、胃内環境は大きく変わってきました。胃底腺型腫瘍やラズベリー型ポリープなど新しい疾患が提唱され、さらに画像強調内視鏡技術の進歩と相まって胃癌診断は過去の経験では語れなくなってきました。外科のロボット手術が広まり、化学療法も免疫チェック阻害剤を用いた治療のエビデンスが蓄積され、新たな局面を迎えています。私の専門である内視鏡治療も外科と同様にロボットの開発が特に海外で進んでいます。AIの進歩も著しく、いずれ診断から治療まで医者抜きでAIがしてくれるのではないかという冗談が、ひょっとしたら冗談ではなくなるかもしれません。疫学的にも近い将来胃癌が大きく減少するとされる中、胃癌をとりまく大きな変化のターニングポイントが現在なのかもしれません。もう一度胃を見つめ直すという意味で、今回私の母校である釧路湖陵高校の大先輩である漫画家の星野之宣先生が、私の意を汲んだ素晴らしいポスターを作って下さいました。
本総会は第86回総会以来、9年ぶりに内科系が担当することになりました。外科医、腫瘍内科医、消化器・内視鏡医、病理医と基礎研究者がコラボラーションして、議論できる学会にしたいと思っております。胃癌学会の国際化に関する議論はありますが、尊敬する佐野武先生より(がん研有明病院院長)、「おまえの英語は何語だ?」と揶揄された私ですので、本学会は国内学会であることを鑑み、多くは日本語での発表・討論といたします。もちろん英語セッションも1日1ラインは行い、海外からの参加者にも配慮しております。2023年6月には北川雄光先生が会長の第15回国際胃癌学会(IGCC 2023)もございますので、うまくすみわけられるとよいと考えております。
ご承知のように、第92回から94回までコロナ感染拡大を受けて完全webまたはハイブリッド開催となりました。予断は許されませんし、いざというときにはweb配信も考慮しておりますが、現地での開催を目指しております。
多くの皆さんに札幌の地にご参集いただければと願っています。北海道のおいしい食事とお酒が待っております。冬の札幌で熱い議論を期待しておりますので、なにとぞご協力賜りたく存じます。