柳田邦男先生は日本の代表的なノンフィクション作家、評論家です。著作物としては『マッハの恐怖』、『原発事故　私の最終報告書』など事故災害調査に関する作品とともに、『ガン回廊の朝』、『ガン50人の勇気』、『「死の医学」への日記』 など、医学と医療、生と死に関する多くの著作があります。これらに共通する問題として専門家視点の盲点に気づかれ、そこから、医療における専門家が抱く「医学モデル」に対し、患者・家族・在宅ケアからみた「人間（人生）モデル」を提唱されています。

先生のお仕事の特徴は現場主義、徹底した取材から問題とその解決法を考えるところにあります。先生にとっての「現場」が私たちにとっての「臨床」です。医療の問題を考えるうえで重要ないくつかのエピソードの紹介があり、病をもつ人、限られた時間を生きておられる人が、話すことや書くことを通じて生きる力（レジリエンス）がもたらされる過程を話されます。

また、臨床における医療者の役割、患者に寄り添うということ、医療は何をめざすのかが語られます。お互いの人間的交流の中から生まれるものは何か？「医療とは人生の交差点で創る作品～医療者・患者の生きがいの共有～」と題する先生の講演をぜひご視聴ください。私たちの人間的成長をめざして。

ハーゲドーン賞

東北大学大学院医学系研究科
片桐　秀樹　先生