第50回日本医学教育学会大会

ご挨拶

大会長 吉澤靖之

吉澤靖之
東京医科歯科大学学長
第50回日本医学教育学会大会長

 平成30年8月3日(金)および4日(土)の2日間、東京医科歯科大学におきまして第50回日本医学教育学会大会を開催させていただくこととなり、大変光栄に存じます。
 本学は、江戸時代には学問(儒学)の府とされていた聖堂(孔子廟)や昌平坂学問所(昌平黌)があった湯島・昌平坂、すなわち近代教育発祥の地に建っております。明治以降には、文部省、博物館、東京師範学校(現・筑波大学)、東京女子師範学校(現・お茶の水女子大学)と変遷を経て昭和5年に東京医科歯科大学となりました。ちなみに隣にある湯島聖堂では、医薬の始祖として東洋医学者の尊崇を集めてきた神農像が神農廟に祀られ、毎年11月23日に「神農祭」が行われています。
 学問と教育の聖地に建つ東京医科歯科大学の基本理念は「知と癒しの匠を創造し、人々の幸福に貢献する」であります。この理念に基づき、教育では幅広い教養と豊かな人間性、高い倫理観、自ら考え解決する創造性と開拓力、国際性と指導力を備えた人材を育て、研究においてはさまざまな学問領域の英知を結集して、時代に先駆ける研究を推し進め、その成果を広く社会に還元します。医療については心と身体を癒す質の高い医療を、地域に提供するとともに、国内さらに世界へと広めていきます。
 2017年度には医師臨床研修マッチングにおいて最も多くのマッチ者数119人を集め、大学病院では唯一5年連続でマッチ率1位(100%)となっており、学生からの評価も非常に高いところです。
 東京医科歯科大学の基本理念「知と癒しの匠を創造し、人々の幸福に貢献する」は普遍的な医学教育の永遠のテーマでもありますので、本大会でも「知と癒しの匠を創造する」を大会の主題に掲げています。本学では2002年度からハーバード大学との医学教育提携を開始し、同大での本学教員の研修、および同大関連病院での本学学生の臨床実習を行っています。これらの派遣教員および派遣学生からの提言を基に、本学の教育カリキュラムは発展してきました。その際に大変お世話になったハーバード教官のトムアレッツ先生を本大会にお招きしました。トム先生は、全世界の多くの大学でカリキュラム作成経験があリます。またミュンヘンオリンピック水泳競技の出場という異色の経歴もあります。さらにデュークNUSのカメイ先生からシンガポールで新規大学設立時においてのアクティブラーニング導入経験をお話しいただきます。その他、社会の変化や医学の進歩を見据えた将来の医学教育を考えるセッションなど多くの企画を準備しております。
 未来の医学・医療を担う人材養成の課題と解決策を、我が国の医学教育者が一堂に会し世界の医学教育者と共に議論する場を提供したいと考えておりますので、多数の先生方にご参集いただきますよう、よろしくお願い申し上げます。