ご挨拶

第14回肥満と消化器疾患研究会
当番世話人  𠮷治 仁志
奈良県立医科大学 消化器・代謝内科 教授

このたび、第14回肥満と消化器疾患研究会を2024年(令和6年)5月8日(水)に徳島市・四国大学交流プラザで開催させていただくこととなりました。
今回のテーマは「肥満と消化器研究の未来予想図」とさせていただきました。
本研究会は日本消化器病学会の附置研究会として、当時理事長だった菅野健太郎先生と理事の恩地森一先生が中心となって2011年に発足しました。その後、日本消化器病学会関連研究会へと移行し現在に至っています。猿から人への進化の過程を仮に1日(24時間)とすると、人類は23時間59分59秒83にわたって肥満という状況には無縁で、実に0.17秒しか肥満を経験していないとされています。肥満はさまざまな臓器障害を生じる事が知られていますが、多くは栄養過多によるものであり、消化器はまさに肥満病態形成の中心に位置する臓器群であると言えます。上部消化管のGERD、下部消化管の大腸癌をはじめとして肥満が種々の消化器疾患において重要な役割を果たしている事が次々に明らかにされています。肝疾患においても、肝炎ウイルス治療の進歩によりウイルス性肝硬変が減少し、代わりに脂肪肝をベースとした非ウイルス性のものが著増しています。脂肪肝はNAFLD/NASH、あるいはメタボリック症候群との関連でMAFLDと呼ばれ研究が進んでいましたが、2023年にこれらの呼称を変更してSLD (Steatotic Liver Disease)とする新概念が提唱されるなど肥満と消化器研究は未だ行うべきことが多く残されています。こうした背景のもと、今回のテーマを「肥満と消化器研究の未来予想図」とし、今後の本領域における研究の方向性を探り、消化器病患者の予後改善へと繋がる未来へ向けた新しい研究の息吹が感じられる研究会になることを期待しています。抗肥満薬も上市され、基礎・臨床の両面からの様々な視点で最新の研究発表と討論を行うことで、未来に向けて更なる肥満病態形成の役割解明と疾患の診断・治療・予防の発展に寄与することを目指しております。多くの先生方のご参加を心からお待ちしていますのでよろしくお願い申し上げます。