会長挨拶
第50回日本脳卒中学会学術集会 ご挨拶
第50回日本脳卒中学会学術集会 会長 豊田 一則
(国立循環器病研究センター 副院長)
脳卒中医学・脳卒中医療の国内最大のイベント STROKE 2025を、2025年3月6日から8日まで大阪国際会議場にて開催いたします。私は第50回一般社団法人日本脳卒中学会学術集会を主催させていただき、同じくSTROKE2025を構成する第54回日本脳卒中の外科学会学術集会の髙橋 淳会長(近畿大学)、第41回SAH/スパズム・シンポジウムの井川房夫会長(島根県立中央病院)と密接に連携して、魅力的な会になるように努めます。とくに日本脳卒中学会学術集会では、伊藤義彰先生(大阪公立大学)と山上 宏先生(筑波大学)を副会長に迎え、会員の皆様の期待に十分以上に応えられる会を企画いたします。
私ども3学会は、それぞれが半世紀前後の歴史を有する学術集会を運営し、それぞれのスタイルで国民病である脳卒中の臨床と研究に取り組んで参りました。先達の努力や社会の理解によって、脳卒中医学を取り巻く環境は急速に改善し、とくに全都道府県で脳卒中と心臓病その他の循環器病対策推進計画が策定され行政と一体になった脳卒中対策を講じる場が準備されるようになりました。このような大きな時代の流れとともに、より多くの会員がより広い視野で脳卒中を考える場として、3学会合同のSTROKE 2025が役に立てばと願います。
STROKE2025は、大阪で開催いたします。学術集会は真剣に学問を論ずる場ですが、同時に大阪を色濃く打ち出して、参加者が心から楽しみご満足いただける会を目指します。なんと云っても2025年は大阪の年! 大阪・関西万博が掲げた主題、いのち輝く未来社会のデザインに倣って、明るい健康社会創造の一翼を担う会になればとの思いを、主題「脳卒中医学、輝く」に込めました。
今回STROKE2025と同時に、日本脳卒中学会と韓国脳卒中学会の共催による第12回韓日合同脳卒中カンファレンス(杏林大学 平野照之会長)も大阪国際会議場で開催されます。多くの脳卒中研究を国全体で纏まりよく実施し成功なさっているお隣の国の脳卒中医学を、深く識る良い機会です。併せてお楽しみいただければと思います。
皆様の心に残るSTROKE2025を目指します。多くの方のご参加をお待ちしております。
第54回日本脳卒中の外科学会学術集会 ご挨拶
第54回日本脳卒中の外科学会学術集会 会長 髙橋淳
(近畿大学医学部脳神経外科 主任教授)
第54回日本脳卒中の外科学会学術集会を担当させて頂きます。伝統ある本会を担当できることを、近畿大学脳神経外科スタッフ一同、大変光栄に思います。
さて、脳血管外科は近年、血管内治療の目覚ましい発展と薬物治療の進歩により大きな転換点にさしかかっています。手技の改良、モニタリングの普及、外視鏡の導入など直達外科も進歩していますが、脳神経外科専門医を取得した若手の3分の2以上が血管内治療専門医試験に挑む時代となり、脳血管外科直達手術の技術水準維持、次世代への継承が喫緊の課題になっています。すでに欧州からはclipping術者がいない、bypass術者がいない、AVM術者がいない、といった噂が聞こえてきています。日本脳卒中の外科学会の技術認定医制度はこの問題に対する大きな取り組みであり、これが直達脳血管外科手術習得への大きなモチベーションになっています。しかし本制度においてもなお、当初必須であったバイパス/CEAのビデオ審査が外されるなど、時代の波を受けています。
もちろん医療は患者のためにあり、医療者は時代に即して変わっていかなければなりません。今回の学術集会では、2025年時点での脳血管外科直達手術と血管内治療の最良の選択、最良の組み合わせについて、深く議論できるプログラムを作りたいと思っています。
Stroke2025は、実に6年ぶりに現地開催オンリー(海外演者講演の一部を除く)となる予定です。万博を1ヵ月後に控え活気づく大阪にお越し頂き、世代の垣根を越える白熱した討論の輪にぜひ加わってください。
スタッフ一度、万全の準備でお待ちしております!
第41回SAH/スパズム・シンポジウム ご挨拶
第41回SAH/スパズム・シンポジウム 会長 井川 房夫
(島根県立中央病院脳神経外科 医療局次長)
第41回SAH/スパズム・シンポジウムを担当させていただきます島根県立中央病院の井川房夫でございますが、ご指名いただき大変光栄に存じます。副会長は、堀江 信貴先生(広島大学大学院医系科学研究科 脳神経外科学)にお願いしており鋭意準備をさせていただいております。くも膜下出血の転帰は術後のスパスムのみならず、様々な要因のdelayed cerebral ischemia(DCI)に起因することがわかっており、SAH/スパズム・シンポジウムと学会名も変更されましたが、今なお、解決されているとは言い難い状況です。
本邦では、2022年からエンドセリン受容体拮抗薬のピヴラッツ®が使用可能となり、その使用経験も増え、日本から多くの論文が出てきております。日本でのみ使用可能なDCI予防薬であり、他国ではできない独創的な臨床研究も可能なため、症例を積み重ね、これまでわかっていない年齢、容量、他剤との併用、副作用に対する対応方法など、治験を共有していただければ幸いです。その後、是非質の高いエビデンスの構築へつなげていければと考えております。STROKE 2025のメインテーマは「脳卒中医学、輝く」ですが、くも膜下出血の転帰も脳梗塞の飛躍的成績の向上に負けないよう「輝く成果」を目指していきたいと思います。
第50回(一社)日本脳卒中学会学術集会 豊田一則会長(国立循環器病研究センター)、ならびに第54回(一社)日本脳卒中の外科学会学術集会 髙橋 淳会長(近畿大学)とともに充実した会になるよう、皆様のご協力とご参加をよろしくお願い申し上げます。