第25回日本再生医療学会総会の開催にあたり、ご挨拶申し上げます。
第25回総会のテーマは「希望の光を失わせない」としました。再生医療はそれ以上治療がなく絶望に陥っている患者さんに希望を与えるものであると思います。治療法もなく失明が運命づけられている網膜変性疾患の方々からは20年前から研究してくれているだけで希望が持てるという声を聞きましたが、様々な疾患でいよいよそれが現実の治療となる過程にあります。夢をいかに現実に着地させるかが問われます。このテーマによって、常に患者の存在を意識し、対象となる患者の利益を目指すことが道を間違えない方法だということを今一度確認したいという思いが込められています。
また25年目にして初めて企業が主催する学会となりますので、学会員が基礎研究からビジネスまで多岐にわたり、ユニークで強力な日本再生医療学会の力が見える学会にしたいと思います。長いアカデミア生活の後にビジネス側に身を置くものとしては日本の優れたシーズが知財を生み、事業となり利益が出て、それが次の研究につながり国力となるというサイエンスのライフサイクルをまわすことが今の日本に必要だと感じています。再生医療では、そのサイクルを特にアカデミア側が知ることによりスムーズにまわすことができる、そこをあきらかにし、アカデミアとビジネスの幸せな融合を目指したいと思います。そこでは第24回の学会が発し大きな反響を生んだYOKOHAMA宣言に対し検証型診療と無検証診療の基準を議論し、あるべき企業の姿を含めアンサーを探る学会となるとも思います。
また今回新たな試みとして、学会の会期は2日と短縮し、続けて3日目にISCT(国際細胞遺伝子治療学会)とのjoint symposiumを開催することとなりました。これは5年にわたり交互に開催することをISCTが希望しており、日本の再生医療が世界でも注目されていることを表しています。日本での再生医療の成果を示し、世界の潮流を日本で感じることができると思いますので、特に海外に行くことの少なくなった若い人たちに国際舞台を経験していただくよい機会かと思います。ふるってご参加ください。