会長挨拶

第52回日本関節病学会
会長 田中 栄(東京大学医学部整形外科教授)

この度、第52回日本関節病学会を2024年(令和6年)7月19日(金)、20日(土)に第51回と同じシェーンバッハ・サボー(砂防会館)にて開催させていただくこととなりました。

伝統ある本学会を運営する機会を賜りましたことを大変光栄に存じます。
本学会は、1973年にリウマチ外科研究会として設立され、1981年に日本リウマチ・関節外科学会、そして2007年に日本関節病学会と名称を変更いたしました。そのような背景もあり、以前はリウマチ外科を専門とする整形外科医が参加者の大部分でしたが、現在では学会の守備範囲は変形性関節症、再生医療などに広がっており、整形外科のみならず他科の医師や基礎研究者にも興味を持っていただける企画が豊富に用意されています。これまで関節疾患診療を議論する場として中心的な役割を果たしてきました。

今回の学会はテーマを「創」とさせていただきました。「創」ということばには「創造」、すなわち「イノベーションを起こす」という意味に加えて、「新たな医療を構築する」という思いを込めています。超高齢社会を迎えて健康寿命の延伸が重要な課題になっていますが、関節リウマチや変形性関節症などの関節疾患は介護や支援が必要になる主たる原因の一つです。薬物療法や外科療法をはじめとして、近年関節疾患の治療体系も大きく進歩していますが、未だに克服には至っておりません。特に変形性関節症については、2016年に変形性股関節症、2023年に変形性膝関節症のガイドラインが作成されましたが、関節リウマチにおける生物学的製剤や分子標的薬のように、疾患自体の進行を止めるような予防・治療法は開発されていません。本学会では変形性関節症の新たな治療法開発も目標に置きつつ議論を重ねていきたいと思います。

第51回学会に引き続き、第52回学会も夏休み前に開催させていただくことになりました。

是非多くの方にご参加いただき、関節疾患診療の新たな時代を目指していただければ幸いです。