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会長挨拶

第49回日本IVR学会総会
大会長 村 上 卓 道
(神戸大学大学院医学研究科 放射線診断学分野 教授)

新型コロナウイルス(COVID-19)が世界中で猛威を振るう中、第49回日本IVR学会総会も延期を余儀なくされ、会期を2020年8月25日から27日までに変更して神戸ポートピアホテルにおいて開催することとなりました。関係者の皆様には大変なご不便をおかけすることとなりましたことを心よりお詫びすると共に、参加していただく方々にとって有意義な会とできるよう引き続き誠心誠意努力して参ります。

今回の学会テーマは、「IVR – be the best for patients -」とさせていただきました。Interventional Radiology(IVR)という概念が生まれて半世紀以上が経過し、IVRは目覚ましい進歩を遂げてきました。その間、多くの先人達の優れた発想に様々な技術革新やデバイスの進歩が加わり、今では非常に多くの領域でIVRの威力が発揮されています。例えば、我が国で発展した肝細胞癌に対する経カテーテル的肝動脈化学塞栓療法(TACE)の効果は世界中で認められ、有力な治療選択肢として世界中のガイドラインに掲載されています。また、この他にも多くのIVR手技が様々な疾患や病態のガイドラインに取り上げられ、一定の地位を確立しています。その反面、優れた治療効果が期待できるにもかかわらず、エビデンス不足や保険適応の壁に阻まれ、思ったように普及していないIVR手技も数多く残されています。より多くのIVR手技が科学的に根拠のある治療法となり、患者さんにとって最良の治療法として認められていくよう努力を続けていかなければなりません。また、より洗練された治療を行うことができるIVR専門医を一人でも多く育成していかなければなりません。先人が培った技術を後進に伝えていくこと、将来のIVRを担う優れた専門医を育成することは学会の重要な使命と考えます。

「IVR – be the best for patients -」には、「IVR専門医が行うIVR手技は患者さんにとって最良であり続けなければならない」との思いが込められています。この学会テーマに沿い、少しでも有意義な議論や学びが得られるよう、プログラムに工夫を凝らしました。まず、今回の総会で発展的解消を遂げるMSG研究会との合同企画として、吉川公彦理事長に「Stent・Stent Graftの歴史」と題する特別講演をお願いしています。また、荒井保明前理事長には、「英語プレゼンテーションのコツ」に関する教育講演をお願いしました。「大動脈解離に対するIVR」、「緩和IVR」、などに関するシンポジウムでは、他科で活躍されている先生をシンポジストとしてお迎えし、最新の知見について診療科間の壁を取り払って議論できるように努めました。さらに、近年の医療において、「テーラーメイド医療」と「人工知能の応用や医療用ロボットの開発」が注目されています。IVRとは少し距離のある領域ですが、今後は我々も積極的に関与していかなければならないことは明白です。そこで、近未来のIVRを想定した企画として、「がんゲノム」や「人工知能」といった当学会では少し縁遠い話題を含めたシンポジウムを企画しました。教育企画では、技術教育セミナーに加え、胆道系やPADといったIVR学会のワーキンググループによる企画や、液体塞栓物質に関するシンポジウムなどを予定しています。また、海外からの招待講演を同領域の教育講演に続けて行うことにより、より効率的に聴講していただけるよう配慮しています。海外からの招待演者については、新型コロナウイルスの関係で渡航の可否が不透明な状況が続いていますが、ビデオ講演などを活用して少しでも多くの最新トピックスに触れる機会を設けるよう努力して参ります。

ご存知の通り、神戸は海と山にはさまれた美しい港町です。我が国におけるジャズやゴルフの発祥地として知られているように、近代日本の文化的遺産が街の所々に残り、エキゾチックな面影をたたえています。8月の終わりは神戸でも大変暑い時期ですが、夕暮れ時になると海からの潮の香りが漂い、秋の気配が少しずつ感じられるようになります。新型コロナウイルスが1日でも早く収束し、そんな少しセンチメンタルな神戸を皆様に楽しんでいただけることを心から願っております。