主題演題
シンポジウム
「新規治療の効果を踏まえた炎症性腸疾患に対する治療戦略~手術のタイミングを含めて」
近年、炎症性腸疾患(IBD)治療の発展は目覚ましく、作用機序の異なる様々なAdvanced therapyが登場し、難治性IBDに対する治療オプションは増え続けている。しかし、これらの治療薬の選択方法や使用順番などに関しては明確な基準はなく、治療の標準化や最適化も重要な課題となっている。また、種々の治療薬に反応せずに難渋するケースもあり、手術のタイミングを逃さないよう内科と外科の連携も重要である。本シンポジウムでは、新規治療の工夫や治療戦略、諸問題、今後の課題、そして難治例の手術のタイミングなど、内科、外科の視点から検討した演題を幅広く募集し、議論を行いたい。
シンポジウム
「進行直腸癌の治療戦略~TNTの可能性を含めて」
近年直腸癌に対する治療は大きく変化しつつある。手術単独治療を中心に行ってきた本邦でも術前放射線治療やTotal Neoadjuvant Therapy(TNT)を取り入れる施設も多くなった。その有効性が言われる一方、前治療によって手術の難易度が上がり、治療の長期化、費用の増加もみられる。ここでは各施設の治療戦略とその成績から現状における直腸癌治療の指針を提示していただきたい。
シンポジウム
「【肛門科診療の昨日・今日・明日】~こだわり・工夫の変遷、そして今後~」
肛門科の歴史は浅くない。痔核・裂肛・痔瘻の良性疾患を主に代々あるいは師弟関係のもと色々な診療体系が築かれ、とくに手術術式へのこだわりと工夫も受け継がれている。近年は痔核ALTA療法の登場、痔瘻温存手術術式への流れ、エビデンスの追及そして生活様式ニーズの多様化など肛門科も大きく変わろうとしている。今日までの努力を無にすることなく肛門科の診断・治療・手術の変遷をあらためて確認し、将来の肛門科診療のあり方、肛門科標榜の問題、地域による肛門科コミ二ュティの連携化、若い肛門科医の育成など今後の向かうべき肛門科の方向性を普遍の肛門科愛をもって検討する場としたい。
ビデオシンポジウム
「早期大腸癌に対するESDの現状と展望」
ESDはデバイスや内視鏡機器の発展に加え、トラクション法などの開発に伴い手技の一般化・普及が目覚ましい。同時に縫縮法の発展により偶発症のマネージメントも進化している。一方で良くも悪くも「手が出せる病変」が増え、その適応はより慎重になる必要がある。本セッションでは治療の工夫、偶発症予防などに関し、大腸ESDの現状とこれからの展望について広く演題を募集し、議論していただきたい。
ビデオシンポジウム
「ロボット支援大腸切除術の現状とこれから」
ロボット支援大腸手術は多くの施設で行われるようになり、直腸癌のみならず結腸癌にもその適応が広がりつつある。各施設での経験とともに新たな工夫をとりいれることや、使用するデバイスにも変化がみられつつある。一方この手術のコストについては大きな問題となっている。ここでは各施設の手術手技の特徴や工夫を提示していただき、今後を見据えた方針について論じていただきたい。
ビデオシンポジウム
「痔核結紮切除術を極める~術後合併症予防と術後トラブルシューティング」
痔核結紮切除術は諸家による長年の工夫等の結果、今や基本術式は揺るぎなく優れた根治術式として異論はないであろう。肛門科医独自のこだわりも多く報告されているが、いかに完成度が高くなろうとも術後の創部出血や肛門狭窄等の合併症を全くなくすことは難しい。例えば術後の急性期出血は厳しく言えば多くが術者の技術的な問題であるが、晩期出血は完全には避け難い肛門科医の“永遠の悩み”のひとつかもしれない。今回各肛門科医のこだわりの術式・手技を述べていただき、合併症に対する予防としての科学的な効果根拠とその対処法を比較検討して痔核結紮切除術の更なる確立の一歩としたい。
パネルディスカッション
「炎症性腸疾患関連腫瘍の診断とマネジメント」
炎症性腸疾患(IBD)の内科治療の進歩により手術回避症例が増加する一方、長期罹患に伴うIBD関連消化管腫瘍の発生頻度が増加している。潰瘍性大腸炎関連消化管腫瘍は内視鏡診断が困難で、sporadic cancerとの鑑別も重要となる。また近年は内視鏡的切除も行われており、内視鏡診断技術の向上も求められている。クローン病関連消化管腫瘍は狭窄や瘻孔のため内視鏡検査が困難なことも多く、発見時に進行癌で発見されることも少なくない。本邦では直腸肛門管癌が多く認められるが、サーベイランス法は確立されておらず、その予後は不良である。本セッションでは、IBD関連消化管腫瘍の診断、治療、サーベイランス法の確立、マネジメントなど、内科、外科、肛門科の各々の視点から議論を行いたい。
パネルディスカッション
「クローン病の肛門病変に対する診断と治療~外科、肛門科、内科の役割を含めて」
クローン病には肛門病変が高頻度に合併し、再発をくり返し難治化することから、QOLを著しく低下させる。また、長期にわたる炎症は直腸肛門部癌が発生することもあり、炎症のコントロールが重要である。治療に関しては、局所の病態だけでなく、腸病変の活動性も評価して総合的に決定する。各々の病態に応じて、抗菌薬、生物学的製剤、setonドレナージ、経肛門拡張術、手術などが施行され、そして近年は再生医療も適応となった。本セッションでは、クローン病の肛門病変の診断、治療、難治例への取り組みや課題などを、外科、肛門科、内科の各々の視点から議論を行いたい。
パネルディスカッション
「Stage IV大腸癌の治療戦略ー手術?薬物?放射線?」
大腸癌に対する薬物治療の進歩によりConversion症例も経験するようになってきた。また切除可能であっても複数の転移があれば薬物治療を先行することもある。Stage IVの様々な症例に対してどのような選択を行って治療成績の向上を図るかは各施設でばらつきがある。ここではStage IVに対する各施設の方針を提示いただき、症例に対するディスカッションを行う。
パネルディスカッション
「直腸癌に対する側方郭清~省略可能症例を含めて~」
現在の治療ガイドラインではT3以深の下部直腸癌において側方リンパ節の腫大の有無で側方リンパ節郭清は強い、または弱い推奨となっており、特に弱い推奨においては省略する施設も少なくない。またT3以深の症例には術前治療を併用する施設も増加していると考えられ、側方郭清の適応にも絡んでくる。各施設の方針と成績を提示いただき、症例に対するディスカッションを行う。
パネルディスカッション
「炎症性腸疾患手術の諸問題~分割手術、腹腔鏡手術、pouch吻合法」
炎症性腸疾患は内科治療が進歩する中で重症例や合併症併発症例など難易度の高い症例も多い。クローン病の穿通・穿孔症例や手術既往症例での腹腔鏡手術の適応、潰瘍性大腸炎の分割手術の適応やpouch吻合法など、施設によって異なる選択がされることも考えられる。ここでは各施設の手術方法の選択とその成績を示していただき、討論していただく。
パネルディスカッション
「大腸癌の周術期管理~前処置から術後の投薬・検査まで~」
大腸手術後の在院日数はERASの導入などにより減少傾向にある。当初、欧州から機械的前処置の省略が導入されたが、米国では機械的前処置に加えて予防的抗生物質投与が推奨されている。また術後の抗生物質投与についても統一はされていない。各施設の周術期管理とその成績について提示いただき、今後あるべき管理について討論いただきたい。
パネルディスカッション
「痔瘻温存各術式の術後の弱点~再発・治癒遷延とその対応治療」
痔瘻手術は根治性と形態・機能温存の両面が重要だが、近年諸家による温存術式の工夫がなされ術後成績も活発に報告されている。その温存術式の流れの中で術式の良否として術後成績の統計的数値エビデンス等は欠かせないが、今回は各温存術式の治癒判断の根拠、とくに再発の病態、治癒遷延との鑑別など言わば“術式の弱点”を正確に、失礼ながら謙虚に供覧提示し、そのリスクに対する予防・改良および対応法をも併せて述べていただきたい。温存術式という名に留まることなく痔瘻手術の大いなる確立につなげたい。
パネルディスカッション
「便失禁診療の現状・進歩・課題」
便失禁の多様な病態は、時に評価や治療を難渋にさせ得る。それを解決すべく2017年に発刊された本邦初の便失禁診療ガイドラインは、便失禁診療の普及を促す画期的な取り組みとなった。その後、更なる知見の蓄積を基に、昨年改訂版が上梓され、より広い分野の便失禁診療に貢献できるよう革新的な内容となっている。本セッションでは初版から改訂版までの便失禁診療の進化や現状における問題点、今後の課題について議論したい。
パネルディスカッション
「裂肛診療の難しさについて(診断・治療・術後)~裂肛診療を極める」
裂肛に対し適切な診断・治療を提供し、痛みや出血に悩む患者の満足と信頼を得ることは重要である。裂肛に対する保存的治療・非観血的薬物治療の限界、外科的治療のタイミングと適応術式の選択など各施設の指針を示していただきたい。また手術時の工夫ならびに肛門拡張径や肛門内圧検査等の客観的な指標の有無、ならびに術後の再燃、失禁、治癒遷延といった術後成績を提示していただき、“裂肛診療を極める”有益なパネルディスカッションにしたい。
パネルディスカッション
「クリニックにおける肛門診療の最前線」
クリニックにおける肛門診療は大規模病院とは異なる側面をもつ。たとえばクローン病のような難治性腸疾患と告げられ不安な患者にとって、クリニックならではの日常継続的かつ親密な外来診療の提供は信頼関係に通じるはずである。一方“クリニック治療としての限界の見極め”も必要と考えられる。多様なクリニックの最前線において、工夫や独自性などを含めた肛門診療について発表いただきたい。
ビデオパネルディスカッション
「結腸癌手術における体腔内吻合の短期・長期成績」
結腸癌手術において体腔内吻合を行う施設が徐々に増加している。ロボット、腹腔鏡におけるそのテクニックやコツを提示いただき、短期・長期成績を示していただく。手術時間や術後合併症に加えて、創ヘルニアや癌の再発などについても検討を加えて討論していただきたい。
ワークショップ
「大腸診療におけるAIの利用」
近年、AIの進化により、内視鏡をはじめ大腸診療のあらゆる領域でその活用が進んでいる。画像診断支援、治療支援、予後予測や手術ナビゲーションなど、診断・治療の質を向上させる技術が次々と開発されている。本セッションでは、日々急速に進歩し高度化するAI技術の大腸診療への応用とその進捗を講演いただく。技術革新によって未来の大腸診療はどうなるのかを想像したい。
ワークショップ
「大腸憩室炎に対する保存的治療・外科的治療」
欧米では最もよくみられる大腸手術のひとつであったが、近年本邦でも増加傾向がみられる。抗生物質治療、穿刺ドレナージによる保存的治療、再発症例の治療、腸切除術の適応およびタイミングや吻合の可否、穿孔症例における集中治療の成績評価など、広く論じていただき、日本における治療方針の確立をめざしていただきたい。
ワークショップ
「大規模データベースを用いた大腸疾患研究」
大腸疾患において大腸癌研究会全国登録やNCD、さらにDPCの大規模データを用いた臨床研究が行われるようになってきた。これらは限られた条件で行われる臨床試験と異なり、リアルワールドの成績が評価される。ここでは全国データベースを用いた研究について発表していただき、そこからの新たな知見について共有し、その意義について討論していただきたい。
ワークショップ
「一時的人工肛門作成法の工夫と合併症の対策・対応」
肛門温存手術の増加に伴い一時的人工肛門を造設する患者は増加している。結腸と回腸では解剖学的構造からそれぞれの作成法のコツやピットフォールが存在する。また緊急手術ではさらによい形状のストーマ作成には苦慮する。ここではストーマ作成に関する工夫を提示していただき、ストーマ合併症に対する対策や対応について発表、討論いただきたい。
ワークショップ
「肛門診療で悩み・迷い、苦慮する肛門疾患について(第1回)」
主に良性疾患を扱う肛門科診療ならではの“ストレスある疾患”に出会うことも稀ではない。患者高齢化とリスク、手術適応や適応術式の難しさ、治癒遷延や再発を繰り返す難治性、などこれまでに培ってきた経験や技術でも対応しかねるジレンマは肛門科医誰しもあるはずである。今回それらを共有、検討することで今後の日常診療に役立てたい。このような悩みが絶えることもなく、次回以降とも継続検討となれば幸いである。
ワークショップ
「若年者の肛門周囲膿瘍・痔瘻のマネジメントの検討~IBDの配慮の必要性を含めて」
日常の肛門科診療において10代の患者では、増加傾向のあるIBDの存在を念頭におく必要がある。肛門理学所見、内視鏡検査所見、生検などによる“IBDに対する確定・疑い・否定”といったその場での各々の結果を通して総合的に肛門周囲膿瘍・痔瘻の治療方針を決定しなければならない。クローン病か潰瘍性大腸炎、IBD内科的治療の優先度、Crypt-grandular型の痔瘻か否、ドレナージのSETONの留置・挿入部位、根治術適応か保存的FO、根治術式の選択などはCASE-by-CASEの判断となろう。症例の提示とともに“将来ある若年者の肛門とQOL”のため、実りある検討を継続していただきたい。
ビデオワークショップ
「肥満症例における大腸手術の対策と成績」
肥満症例では手術難易度が上がることは異論がない。腹腔鏡やロボット手術における小腸排除や視野確保の工夫、助手の活用方法や手術手順の変更、さらにオリエンテーションの確認方法、脂肪の多い脆弱な組織に対する愛護的操作や出血対策など、各施設における肥満症例対策を提示いただき、その治療成績についても示したうえで討論いただく。
ビデオワークショップ
「ロボット支援手術での技術認定取得をめざして」
日本内視鏡外科学会の大腸技術認定ではロボット支援手術も申請できるようになった。これまでの助手との協力を重んじた手術は、カメラ、助手鉗子も自身で操作するほぼソロサージェリーになってくる。またロボット特有のデバイス操作も要求される。ここではロボット支援のS状結腸切除、高位前方切除についてその標準的方法や手術操作について提示いただき、技術認定取得の参考になる討論をしていただく。