第36回日本整形外科学会基礎学術集会  第36回日本整形外科学会基礎学術集会

ご挨拶

第36回日本整形外科学会基礎学術集会
会長 湏藤 啓広
三重大学整形外科 教授

第36回日本整形外科学会基礎学術集会を2021年10月14日(木)・15日(金)の両日に三重県伊勢市の三重県営サンアリーナにおいて開催させて頂くことになりました。16年前に第20回の本学術集会を内田淳正会長が主催して以来、2回目の開催ということになります。長い歴史と伝統のある本学術集会を主催させていただきますことを大変光栄に存じますとともに、関係各位および日本整形外科学会会員の皆様に心より感謝申し上げます。

学会テーマを「みなあやし」と致しました。ご存じの方がおられるかもしれませんが、この言葉は本居宣長が残した言葉であります。本学会を開催する伊勢市の隣にある三重県松阪市で生まれた医師であり、国学者であった人物です。直訳は「すべて不思議」となりますが、世の中の様々な事象に対して先入観とか常識あるいはそれらしい理屈という色眼鏡で見るのではなく、驚く心となぜだろうという問いかけを常に持ちつつ考えるよう示唆した言葉になります。基礎研究に通ずるものがあると思い、テーマとさせて頂きました。

日本整形外科学会基礎学術集会は1973年骨・関節の基礎を語る会に始まり、整形外科基礎研究会を経て、1986年第1回本学術集会の開催と諸先輩方のご努力により大きく発展して参りました。我が国の整形外科基礎研究は、臨床の現場で見出した疑問を整形外科医自らが臨床医の視点に基づいて研究を進め、得られた結果を臨床の現場に還元する、あるいは将来の臨床応用へ発展させるという独自の手法を貫いてきました。しかし、近年の社会構造の変化に伴う超高齢社会の到来など、運動器医療を取り巻く環境が大きく変化するとともに解決しなければならない問題も山積しています。鋭い洞察力を持って理論的思考や科学的検証ができる若手医師を育成し、今後の時代が要求する新しい課題に立ち向かうことも本学術集会に課せられた責務であると考えます。

一方で基礎研究の発展とともに研究領域の細分化、専門化が進み、ともすれば疾患や医療そのものが置き去りにされかねない状況を目の当たりにします。常に臨床を見据えた研究であるという点が大切であり、基礎的手法を用いた臨床的研究の重要性も再認識して頂ける学術集会を目指したいと考えています。

伊勢市は、三重県の中東部、伊勢平野の南端部に位置していますが、伊勢志摩国立公園の玄関口として豊かな自然と美味しい食材に恵まれ、歴史と文化に富んだ名所・旧跡も多く、魅力ある地域資源があふれています。また、古くから「お伊勢さん」「日本人の心のふるさと」と呼び親しまれてきた伊勢神宮を擁し、神宮御鎮座のまちとして栄えてきた三重県を代表する観光地です。三重ブランド認定品である伊勢えび、的矢かき、あのりふぐ、あわび、伊勢茶、伊勢たくあんの他に伊勢うどん、てこね寿し、赤福餅、へんば餅などの伊勢の味とともに学会を楽しんで頂ければ幸いです。

多くの皆様のご参加を心よりお待ち申し上げます。