このたび伝統ある日本肝癌研究会において第59回研究会会長を拝命いたしました。大変光栄に存じており、このような機会を与えて下さいました関係各位の先生方に心から感謝申し上げます。
さて、今回のテーマは「叡智を結集して新たな地平へ」とさせて頂きました。日本肝癌研究会は1965年の発足以来、全国原発性肝癌追跡調査を継続的に実施し、世界に類を見ない膨大な臨床病理学的データを発信してまいりました。2021年には一般社団法人となり新たな一歩を歩み出しました。また、臨床においては2021年に肝癌診療ガイドラインが改定され、分子標的薬に加えて免疫チェックポイント阻害薬が一次治療として加わったことでアルゴリズムも変わりました。2022年からは重粒子線治療の保険適用も開始され、治療選択肢がより一層多彩となりました。DAAの登場も肝癌診療に大きな影響を与え、線維化、脂肪性肝炎と肝発癌が注目されるに至っています。外科治療ではここ数十年間で飛躍的な手術成績を達成し、最近では低侵襲の腹腔鏡下肝切除術が標準手術になろうとしています。一方、欧米諸国に比べて肝移植が普及していない現状も大きな問題であると考えます。このように肝癌に関わる状況は、多方面において新たなフェーズに入った感があります。このダイナミックに変化する状況に対して、本学術集会が皆様の叡智を結集して新たな地平を拓く端緒となれば幸いでございます。
2年間にわたるCovid-19の影響で学会の開催様式も変わりました。感染拡大の防止に細心の注意を払いながら可能な限り現地開催を予定とし、本会伝統の対面での活発な討論が出来ればと存じます。皆様からの多数のご応募をお待ちしております。
最後に2023年夏には、Covid-19が完全終息し食の都大阪の地で皆様をお迎えできることを願っております。