6月6日(金)10:00-11:00ホテルニューオータニ幕張 鶴の間 座長 : 田村 好史 順天堂大学院医学研究科 なぜ、肥満学会が「痩せ」を問題とするのか 横手幸太郎 千葉大学 女性の低体重/低栄養症候群(FUS)の概念提唱の背景 小川 渉 神戸大学大学院医学研究科 女性の低体重/低栄養症候群(FUS)の対応―アカデミアの役割と社会へのアプローチ― 田村 好史 順天堂大学院医学研究科 総合討論と質疑 概要 日本の若年女性における低体重(BMI < 18.5 kg/m²)の割合は先進国の中でも高く、特に20代では約20%が該当する。この背景には、SNSやファッション誌を通じて広まった「痩せ=美」という価値観の影響が大きく影響し、強い痩身願望が形成されていることがあると考えられている。さらに近年では、糖尿病・肥満症治療薬であるインクレチン受容体作動薬が“安易な痩身法”として適応外使用されるケースが増加し、健康被害や社会的リスクが問題視されている。 こうした状況を受け、日本肥満学会は5つの学会とともにワーキンググループを設立し、2025年4月17日に「女性の低体重/低栄養症候群(FUS)」を新たな疾患概念として提唱した。FUSは、低体重、栄養不足、月経異常、骨密度低下、耐糖能異常、精神症状など多様な健康障害を伴い、若年期から老年期までの健康に影響を及ぼす我が国にとって極めて重要な健康課題と考えられる。 本企画では、FUSの背景と現況を共有し、社会構造へのアプローチや教育的介入の可能性を議論する。