第81回日本癌学会学術総会を、2022年9月29日(木)-10月1日(土)に、パシフィコ横浜にて開催致します。新型コロナウイルスの感染拡大により、世界中の人々が、命と健康、疾患とその克服について、これまでにも増して重大な関心を抱き、真剣に考え続けている中での開催となります。日本癌学会は、がん研究の発展を図ることを目的とし、それを通じてがん克服を目指す有志の集まりです。そこで、本学術集会では、「不屈の挑戦が切り拓く、がん克服への道」をテーマに掲げました。コロナ禍に立ち向かいつつ、がん克服への道をまっしぐらに進みたいという思いを込めています。疾患克服を願う社会の期待に応える学術総会にしたいと思います。
がんは1981年以来、日本人の死因の第一位を占め続け、人口の高齢化も相俟って、2人に1人が罹患し、3人に1人が命を落とす重大な疾患です。しかし、総合的ながん対策により、年齢調整死亡率は多くのがんで減少に転じています。特に、1980年代のヒトがん遺伝子の発見から今日に至る基礎研究の成果は、がんの分子標的療法や、ゲノム医療、免疫療法の開発など、がん医療の目覚ましい進歩へと結実し、がんは治る疾患へと着実に相を転じつつあります。さらに近年、情報科学、AI、また、次世代シークエンシングなど、異分野における技術革新や、コホートなどの研究基盤の整備は、がん研究の飛躍的推進と、がん医療の抜本的な変革をもたらし、個々人に適した予防・医療が現実のものとなりつつあります。基礎研究と臨床をつなぎ、新たな診断・治療の確立を目指す橋渡し研究には、さらなる期待が集まります。一方で、分子標的治療や免疫療法に対しても抵抗性を示すがん、糖尿病や慢性炎症など複数の疾患を合併して生じるがん、天寿まで共生すべきがんなど、新規治療法の出現や社会の高齢化に伴って、以前は存在し得なかったがんが増加しています。この様な新たながんに対処するには、がんの臨床チームと研究チームが連携して双方向的な課題を設定し、克服の道を探る活動が必要不可欠です。
そこで、第81回学術総会では、アカデミアや企業の研究者のみならず、がんの臨床に携わる方々、またがんサバイバーをはじめ市民の方々に御参加頂き、がんの本態解明につながる先端的知見や、がんゲノム医療、免疫療法などのがん治療の最新成果に加えて、がん克服に結びつく幅広い研究や活動を発信し、共有して考えることにより、現時点における「がん克服への道」を示したいと思います。同時に、これらの活動の中核を担うべき若手・中堅研究者が主役となる学術集会を目指して、様々な企画を試みます。さらに、ウィズ・コロナ、ポスト・コロナ時代の新しい国際化の形を探求します。
学会期間における新型コロナウイルスの感染状況は、現時点では予測困難です。しかし、オンライン等の長所も踏まえながら、原則として現地、横浜に集結して頂き、face-to-faceの直接的な交流と議論、新しい出会いを通して、活気に満ちた学術総会にしたいと願っております。
皆様の積極的な御参加をお待ちしております。