第79回日本食道学会学術集会

会長挨拶

第79回 日本食道学会学術集会
会長 武藤 学
(京都大学大学院医学研究科腫瘍内科学講座)

この度、第79回日本食道学会学術集会会長を拝命した京都大学大学院医学研究科腫瘍内科学講座の武藤学です。本学術集会は、2025年6月26日(木)、27日(金)の2日間、京都国際会館にて開催いたします。京都での開催は、食道疾患研究会から学会移行後の記念すべき第一回(2003年、会長 今村正之教授、京都大学医学研究科腫瘍外科学)以来22年ぶりとなります。日本を代表する観光地でもある京都での学術集会を満喫できるよう事務局一同で誠心誠意準備しておりますので、ぜひ多くの方々にお集まりいただき活発な御議論と親交を深めていただければと期待しています。

今回のテーマは、「Healthy Esophagus for Well-being 生涯健康な食道を!」とさせていただきました。食道は、口、のどと胃をつなぐ管腔臓器です。単純な構造ですが、人が幸せや喜びを感じる美味しい食事や生きていくための水分補給などには必要な臓器です。この食道を、健康な状態で維持することが身体的、精神的、そして社会的幸せに繋がるWell-beingに重要と考え、テーマにしました。

食道領域における診断・治療は目覚ましく進歩し、内科、外科、放射線科、病理科、緩和医療科、基礎医学領域などに加え、隣接する頭頸部領域、胃領域の診療科との連携も益々必要となり、学際的な取り組みが食道疾患における診断および治療成績を向上させています。一方、悪性の食道疾患はもちろん、良性の食道疾患でさえも罹患してしまうと、食事が取れない、水分が取れないなど、生活する上での大切な機能が損なわれてしまいます。食道疾患に罹患しても、QOLが維持できることが重要ですし、未発症者が食道疾患で苦しむことがないよう、生涯健康な食道を維持できるような取り組みも学会として必要ではないかと考えています。

医療は、未病の段階から発症を防ぐまたは危険群を拾い上げ発症を抑える、いわゆる先制医療が注目されています。食道疾患においては、良悪性の疾患いずれにおいても関わる危険因子が明らかになり、予防や教育の重要性も増しています。医療者目線では、診断や治療が着目されがちでありますが、その重要性を認識しつつ、患者や一般市民目線での先制医療の重要性も認識し新たな医療の開拓も本学会の役割のひとつと思います。

そのような考えのもと、最新の食道疾患の診断・治療に関わるテーマはもちろん、QOLを意識したプログラム構成、各種企画等を準備して参りました。この場を借りて、プログラム委員の先生がたにも厚く御礼申し上げます。会員の皆様におかれましては、是非とも多くの演題をご登録いただき、ご参加いただく皆様がご満足できるよう活発な御議論を何卒よろしくお願い申し上げます。