会長挨拶

第62回日本糖尿病学会近畿地方会 会長
繪本 正憲
(大阪公立大学大学院医学研究科 代謝内分泌病態内科学・腎臓病態内科学)

このたび、第62回日本糖尿病学会近畿地方会を2025年11月29日(土)に大阪国際会議場にて開催させていただきます。日本糖尿病学会の支部地方会の中でも規模も大きく伝統もある本地方会の会長を務めさせていただくことは光栄であるとともにその責任も感じております。また、大阪糖尿病協会会長の權野博さまが世話人を務められ第61回JADEC(日本糖尿病協会)近畿地方会も同時に開催されます。

本会のメインテーマは、『総合知で挑む糖尿病診療』とさせていただきました。糖尿病診療は、糖尿病をもつ人々が糖尿病をもたない人々と変わらない生活・人生をおくることができるように合併症の予防・治療をおこなっていくことが大切です。近年は、腎症・神経障害・網膜症の従来の糖尿病性合併症のみならず、慢性腎臓病、心不全、認知機能低下、肥満症、肝疾患、栄養状態(サルコペニア・フレイル)、悪性疾患などの併存症が大きな課題となっています。このようなさまざまな合併症・併存症に対して、糖尿病専門医・糖尿病療養指導士(CDE)のみならず、さまざま分野の専門医や多職種エキスパートが知恵を集めて取り組んでいくことが求められるようになっています。本会では、糖尿病とさまざま合併症・併存症の最新のトピックスを取り上げ、会員みなさまの『知』の領域をより広く深められるようなシンポジウムを企画します。

また、この数年来、薬物治療のエビデンスや医療機器の進歩とともに、糖尿病診療も大きく進歩し、まさに変貌の時代に突入しています。一方、日常の糖尿病診療をとりまく医療状況は厳しさを増しています。病院で活躍されている糖尿病診療にかかわる医師、看護師、栄養士、理学療法士などメディカルスタッフのみなさんは日々悪戦苦闘しつつ、病院内血糖管理、フットケア、腎症重症化予防外来、CGM導入指導、糖尿病教室、、、など多岐にわたり取り組まれていると思います。本会では、病院においてチームで取り組む糖尿病診療にもフォーカスをあて、相互の情報共有とともに、新しい時代に求められる糖尿病専門医・CDEなどの役割と今後の展望を議論する場としたいと思います。

地方会の重要な使命のひとつは、これからの糖尿病をになう若手医師・メディカルスタッフの皆さまが症例の経験と考察を発表、議論することを学び、そして共感できる仲間をつくる絶好の機会となることです。今後の糖尿病診療をになう若手みなさまには、コロナ禍のwebによる学会参加では味わえない学会場での熱気、緊張感、喜びなどを十分に味わっていただき、本会がポストコロナ時代の糖尿病診療を考える機会になることを願っております。

学会会員の皆さま、糖尿病に関連する企業さまなど、多くのみなさまのご参加と本会を実りある会とするためのご指導・ご支援をお願い申し上げます。