会長挨拶

第40回日本糖尿病合併症学会会長
会長 植木浩二郎
国立国際医療研究センター研究所

第40回日本糖尿病合併症学会を、2025年11月14日(金)、15日(土)の両日、都市センターホテルにて開催させて頂きます。

近年、血糖マネジメントのみならず、血圧や脂質の管理も飛躍的に向上し、さらには血糖値の改善とは独立の臓器保護作用によって、心腎疾患を抑制する薬剤も登場してきています。結果として、糖尿病を持つ人の寿命は延伸してきていますが、高齢化や生活習慣の変化もあり、がん、MASLD/MASH、サルコペニア・フレイル、認知症、心不全などの疾患のリスクが糖尿病で上昇することも明らかになってきましたし、これらの疾患があるとことで糖尿病の管理が困難になり、また当該疾患の治療にも影響を与えます。糖尿病は、インスリンの作用不足による慢性の高血糖を主徴とする代謝疾患群と定義されていますが、インスリンは糖代謝制御以外にも様々な臓器で多様な作用を持っており、糖尿病では高血糖以外にも種々の障害が起きていることが想定されます。したがって、細小血管症や大血管症などの古典的糖尿病合併症のみならず、上記のようなこれまで併存疾患として知られていた疾病についてもその発症メカニズムの解明も含めて今一度糖尿病併症の概念を問い直す時期に来ているのではないかと感じています。このような観点から、今回の学会のテーマを「合併症とは何か?」と致しました。

今回の学会では、例年通りシンポジウム、ワークショップ、教育講演を実施するほか、APDO (Asia-Pacific Diabetes and Obesity) meetingを11月15日に併催いたし、多くの海外からの演者も来日予定です。40回の節目の会でもあり、参加者の交流の場についても新たな試みを準備することにしています。特に若い方々には、コンパクトな会場で国内外の最先端の研究に濃密に触れることができる大変良い機会になると思っております。

スタッフ一同、鋭意準備を進めながら、多くの皆様の御参加をお待ちしております。