会長挨拶
第36回日本糖尿病合併症学会 会長挨拶
第36回日本糖尿病合併症学会 会長
前川 聡
(滋賀医科大学 内科学講座 糖尿病内分泌・腎臓内科)
第36回日本糖尿病合併症学会を2021年10月8日(金)9日(土)に第27回日本糖尿病眼学会総会と共同で、びわ湖大津プリンスホテルで開催させて頂くにあたり、ご挨拶をさせていただきます。
柏木厚典教授が2010年に開催された第25回大会以来、11年ぶりに大津市で開催いたします。この間、糖尿病は、病態の解明、薬剤や機器の開発、さらに、療養指導法など飛躍的に発展、進歩して参りました。同時に、高齢者糖尿病の増加と老年症候群の合併、若年高度肥満糖尿病の増加など糖尿病をめぐる臨床的課題は益々増加している現状です。糖尿病治療の最終目標は、単なる血糖コントロールだけでなく、「健康な人と変わらない人生」です。細小血管障害や大血管障害の発症、進展阻止に加え、癌、認知症、サルコペニアなどの併発症にも対応するため他診療科を巻き込んだ“横断的”な医療が益々必要になってきました。そこで、本学会のテーマを「健康寿命の延伸に向けた新たな道を切り拓く 〜糖尿病合併症ならびに併存症に対する包括的アプローチ〜」とさせていただきました。日々進歩しつつある合併症治療のUPDATEだけでなく、 現在解決できていな課題を皆様と共有し、今後の合併症診療・研究のさらなる進歩につなげていきたいと考えております。
10月の湖国は、秋から冬に向かい、紅葉の比叡山、源氏物語の石山寺、「ちはやふる」で有名になった近江神宮、昨年の朝ドラ舞台になった陶芸の里、信楽、国宝彦根城など、旧所・名跡が多くあります。学会の合間や学会後に足を延ばしてはいかがでしょうか。
コロナ禍が終息に向かい、大津にて皆様とface to faceでの熱い議論ができますこと、そして本会にて、最新の成果が討議され、その成果が日常診療に反映されることにより、糖尿病合併症の発症や進展阻止がさらに推進されることを期待してご挨拶に代えさせていただきます。
第27回日本糖尿病眼学会総会 会長挨拶
第27回日本糖尿病眼学会総会
会長 山田 祐一郎
(関西電力病院 糖尿病・内分泌代謝センター)
第27回日本糖尿病眼学会総会を2021年10月8日(金)9日(土)に第36回日本糖尿病合併症学会と共同で、びわ湖大津プリンスホテルで開催させて頂くにあたり、ご挨拶をさせていただきます。
近年の糖尿病およびその合併症治療の進歩は目覚ましくものではありますが、働き盛りの年代においては、なおも後天性失明原因の首位を糖尿病網膜症が占めており、その克服が重要課題となっております。糖尿病患者の死亡原因に占める血管合併症の割合は、悪性新生物、感染症についで第3位に下がり、死亡時年齢も着実に延長しております。また、視覚障害の原因疾患においても糖尿病網膜症は第3位に後退し、血液透析導入の原因疾患の占める糖尿病腎症の割合も横這い状態となるなど重症の糖尿病合併症は減少傾向にあると思われます。超高齢社会であるわが国において、健康寿命の延伸による健康な人と変わらない人生は新たな重要課題となっております。このなかで、両学会のメインテーマは「健康寿命の延伸に向けた新たな道を切り拓く 〜糖尿病合併症ならびに併存症に対する包括的アプローチ〜」とさせていただきました。
糖尿病合併症は全身のさまざまな臓器に及び、その病態・重症度も多岐にわたります。また、予防・治療の成果を得るには患者自身の行動変容が必須であります。したがって、基礎医学と臨床医学、医師を含むメディカルスタッフ相互の緊密な連携、情報交換が大変重要であります。2021年の本学会では、さまざまな分野の先生方に最新の知見をご発表いただき、知識を共有し討論する場として、また、糖尿病合併症の研究、診療、療養支援に関わる皆様の交流の場としてご活用いただけるように準備を進めて参ります。日々進歩しつつある合併症治療のUPDATEだけでなく、 現在解決できていな課題を皆様と共有し、今後の網膜症を含む糖尿病合併症の診療・研究のさらなる進歩につなげていきたいと考えております。