第29回日本排尿機能学会第29回日本排尿機能学会

会長挨拶

第29回日本排尿機能学会
会長 舛森 直哉
札幌医科大学医学部泌尿器科学講座 教授

この度、2022年9月1日(木)~3日(土)の3日間、第29回日本排尿機能学会を京王プラザホテル札幌で開催させていただくこととなりました。歴史ある本会を開催させていただくことを大変光栄に思っております。

今回は、メインテーマを、「新時代における下部尿路機能学~すべての人々の幸せを願って」(Science of Lower Urinary Tract Function in the New Era~Wishing for Happiness for Everyone)といたしました。下部尿路機能に関わる基礎研究、臨床研究および疫学研究は日進月歩の発展を遂げています。従来のアプローチに加えて、ゲノム情報、AI、ビッグデータを使用した研究など、全く新しい局面を迎えております。これと連動して、新規の治療薬、治療法、手術法の出現により、下部尿路機能障害に対するケアや治療成績が明らかに向上していることは確かです。 

一方で、COVID-19感染症の蔓延に伴い、日常臨床のみならず基礎研究や予防医学の遂行にも大きな影響が及んでいます。医学・医療がどのように変化して近未来にどのようになるのかを正確に予測することは現時点では困難ですが、COVID-19との共存をある程度は図る必要があるのではと推測しています。このように、「新時代」との言葉には、進歩とのpositiveな側面と感染症とのnegativeな側面の2つの意味を込めました。

サブタイトルは、「すべての人々の幸せを願って」としております。下部尿路機能研究に関わる基礎医学者、企業および臨床に携わる医療者の皆の願いは、下部尿路機能障害の適切な予防、診断、治療により、いまだに疾患を発症していない一般の方を含め、患者さんやその家族に幸せになってもらうことだと思います。治療の低侵襲化によるQOLの向上のみならず生命予後に関わる下部尿路機能障害の適切なケア・治療により人々が満足できる医療を提供する、との原則を改めて確認したいと思います。

学会のポスターには札幌郊外の定山渓にある豊平峡ダムの写真を使用しました。ダム湖を膀胱、放水を排尿に見立てています。残念ながら、ポスターのような見事な紅葉にはまだ時期が早いのですが、9月初旬の札幌は晩夏というよりも初秋の香りが漂うこともあり、道外からお越しの先生方にとっては過ごしやすい季節かと存じます。また、北海道の味覚も豊富です。是非、ご来札いただき、学会で活発な討論していただくとともに初秋の北海道を満喫していただければ幸いです。